サステナビリティトップメッセージ

クリタグループのサステナビリティ経営を描く

栗田工業株式会社 代表執行役社長

社長サイン

社会課題への意識の高まり

ウクライナ情勢の長期化や新型コロナワクチン普及による経済活動の再開、物価上昇に対応した各国の金融引き締め、安全保障としての半導体製造競争など、世界経済は引き続き見通しの立てにくい状況が続いています。一方、世界の平均気温が観測史上最高を記録する中、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によるサステナビリティ開示基準の公表、企業が実施すべきリスクと機会の評価対象の気候変動から自然全体への広がり、多様性の尊重を踏まえた人的資本の活用や人権デュー・ディリジェンスの重要性の高まりなど、サステナビリティへの取り組みとそのルール形成は、社会の求めに応じてますます加速、拡大し続けています。

私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対するソリューション提供を事業としています。2023年4月に社長に就任した私にとって、変化しつづける外部環境を踏まえてリスクと機会を的確に見極め、水と環境の分野で70年以上に渡り「水に関する知」を培ってきたクリタグループだからこそ提供できる価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献し続けていくことが、課せられた責任であると捉えています。

CSRからサステナビリティへ

2022年度までの中期経営計画「MVP-22(Maximize Value Proposition 2022)」では、CSRを経営の中核に据え「CSRに関する方針」として初めてマテリアリティを定め、指標・目標を設定しその達成に取り組みました。また、これらの取り組みに関する情報開示とステークホルダーエンゲージメントを強化し、各ステークホルダーから得られた期待や懸念を取り組みの検証と改善に活かしてきました。この結果、主要なESGインデックスに組み入れられるなど、一定の評価を得ることができました。
マテリアリティへの取り組みの一つとして、クリタグループが社会との共通価値を創造する手段である「CSVビジネスをグループ全体で推進したことは、社会課題を起点に価値を創造していくという意識の醸成に繋がりました。また、グループの一人ひとりが担い手となり、企業理念の実現に向けて社会とともに持続的、長期的に成長していくための道筋を示す「価値創造ストーリー」も制定しました。これらの取り組みを通して、クリタグループにおけるサステナビリティ経営の基礎作りができたと総括しております。

2023年4月からスタートした新中期経営計画「 PSV-27(Pioneering Shared Value 2027)」では、理念体系を見直し、企業ビジョンを「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」に改め、経営の中核に据える概念をCSRからサステナビリティへと拡大しました。私たちはサステナビリティを、自然環境や社会システムの中に企業活動を位置づけ、それらとの相互影響を踏まえて持続的な成長を図ること、と捉えています。また、企業ビジョン実現に向けた重要課題を、サステナビリティに関するグローバルな課題を踏まえ改めて特定し、社会との共通価値創造に繋がる「共通価値テーマ」と経営・事業活動の基礎とすべき「基礎テーマ」の大きく2つからなる「クリタグループのマテリアリティ」を新たに制定しました。
マテリアリティにおける大きな変更点は、社会情勢の変化を踏まえて「廃棄物の削減」から「循環型経済社会構築への貢献」に見直したこと、そして「戦略的な人材育成と活用」を新たに加えたことです。8つのマテリアリティごとに設定した指標・目標の数も前計画比で倍増させており、節水に係るCO2排出というトレードオフ低減の視点を組み込むなど、社会により大きな価値を提供していく「開拓者」となるべく、取り組みを開始しています。また、当社は2023年6月より指名委員会等設置会社に移行しており、今後は多様なステークホルダーの視点を取り入れた監督体制のもと、マテリアリティへの取り組みを推進してまいります。

経糸と緯糸でクリタグループの目指す姿を織りなす

クリタグループには、企業理念である「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」とこれを支える理念体系という確固たる経糸があります。そこに何色の緯糸で、どのような模様を描いていくのか。自らの使命を見つめ、社会に対して誠実に臨む、それにより見えてくるものを、グループの一人ひとりが開拓者となって織りなしていく。私たちは「クリタグループのマテリアリティ」の解決に向けた取り組みを通して、ステークホルダーの皆様に鮮やかな絵をお見せしたいと思います。

  • ※ 節⽔・CO2排出削減・廃棄物削減の効果が⼤きく、SDGsが⽰す⽬標とターゲットの達成に貢献する製品・技術・ビジネスモデル。(MVP-22計画における定義)