CSRの取り組み産業の生産技術を進歩させる

クリタグループのアプローチ

クリタグループは、人間が豊かな生活を永続的に営んでいくためには、産業の発展と地球環境保全の両立が必要であると考えています。クリタグループは、様々な製品の製造プロセスに介在する水の処理を通して生産効率や製品品質の向上に貢献するとともに、産業の発展に伴う環境問題の解決に貢献してまいります。

SDGsへの貢献

目標と実績

クリタグループは、現有する商品やサービスの基盤となる「分析」や「流体・プロセス解析」といった水処理に関する基礎的な研究や、節水や省エネルギーなどお客様や社会の課題解決に貢献する製品・技術の開発に取り組んでいます。

2022年度目標 2019年度実績
「生産プロセスの改善・改良への貢献」に該当する商品開発テーマの件数割合 35% 37%

RO膜の閉塞を抑制する水処理薬品の開発

RO※1膜は、浸透の原理を利用して水中の異物を除去・ろ過するもので、海水淡水化設備や純水製造設備などに広く使用されています。膜の表面にスケール※2やバイオファウリング※3、有機物が付着すると膜が閉塞してしまうため、RO膜設備の前にフィルターや有機物吸着塔などを設置して水中の汚濁物質や有機物を除去すると共に、スケールとバイオファウリングの付着を抑制する薬品を使用することが一般的です。
クリタグループは、スケールと有機物の付着を抑制する水処理薬品を開発しました。本薬品を適用することにより有機物吸着塔が不要となり、ランニングコストの削減とRO膜設備の安定運転が可能となります。

※1 Reverse Osmosisの略。
※2 水中に溶け込んでいるカルシウムやマグネシウムなどが析出し、固まったもの。
※3 水中の細菌や藻類など微生物により形成された汚濁物。

AI制御システムによる担体式好気性生物処理装置の省エネルギー技術の開発

工場排水をはじめ有機物を多く含む排水の処理に微生物の働きを利用した担体式生物処理設備が使用されています。好気性の生物処理では微生物の働きを維持するために曝気装置により処理槽内へ空気を送り込む必要があります。曝気装置の電力使用量は排水処理設備全体のエネルギー量に占める割合が大きく、エネルギー使用量削減とコスト削減の観点から曝気装置の効率的な運転が課題となっていました。
クリタグループは、AI制御により曝気装置の最適な運転を可能とするシステムを開発しました。本システムは、排水中の有機物量や微生物の処理能力変化、水質データに基づきAIが処理水質を予測し、曝気量を調整するものです。本システムにより排水水質の安定化と電力使用量の削減が可能となり、さらに処理状況は遠隔で確認することができるため省力化も可能となります。

※ スポンジ状の物質に微生物を保持したもの。

掘削や解体を伴わないVOC高濃度汚染土壌の原位置浄化技術を開発

工場が立地する土地では、過去に使用された有害な化学物質や排水が地表から浸透して地下に残存していることがあり、事業者が工場棟の増改築や用地売却等を行う際に、これら汚染物質の浄化が必要となる場合があります。工場が操業中の場合は建物の解体が困難なため、汚染された土壌を取り除く「掘削除去」ではなく、地下水に微生物を注入して汚染物質を分解させるバイオ浄化処理などの「原位置浄化」が採用されています。汚染物質の一つであるVOCs(塩素化エチレン類)は地下深くまで浸透しやすい性質を持っており、水を通しにくい地層(難透水層)にまで浸透した場合は、微生物による分解を受け難い上に、地下水中に徐々に溶け出すため浄化期間が長期化するという課題がありました。
クリタグループは、難透水層の土壌に吸着したVOCsの溶出を促進する電気発熱法と、溶出したVOCsを微生物の作用により分解させる「クリオーグ・パワーバイオ®」を組み合わせることにより、浄化期間を大幅に短縮する技術を開発しました。

※ 株式会社島津製作所が開発した技術。

汚泥脱水処理の省力化と安定化を実現する自動運転管理技術を開発

工場の排水は生態系に悪影響を及ぼさないよう排水処理設備で適正な処理を行い、河川などに排出されています。この過程で発生する汚泥※を脱水処理し、廃棄物として処理しています。食品工場など生産品の変更が多い工場では、排水の水質が変動しやすく、それに伴っては汚泥の性状も変化するため、状況に応じて汚泥脱水処理設備の適切な運転管理を行う必要があります。運転管理における省人化や脱水処理の安定化の観点から汚泥脱水処理の自動化が求められていましたが、日々変化する汚泥の状況に合わせて様々な薬品の注入量を調整することは熟練した運転管理担当者の知見に拠るところが多く、自動化は長年の課題となっていました。
クリタグループは、汚泥脱水処理において最も重要となる凝集反応槽での凝集状況を独自のセンサーで検出し、薬注量を最適化することで安定処理を可能とするシステムを開発しました。本システムにより、熟練した運転管理担当者と同等の汚泥脱水処理が可能となり、運転管理の省力化や汚泥脱水処理の安定化に貢献します。

※ 排水から分離させた汚濁物質や、排水中の有機物を分解する微生物などが多く含まれるもの。