サステナビリティCSVビジネスの推進

クリタグループのCSVビジネス

クリタグループは、従来に比べ節水、GHG排出削減、廃棄物の資源化または資源投入量の削減に大きく貢献する製品、技術、ビジネスモデルを「CSVビジネス」として定め、その優位性をそれぞれ係数化しています。顧客における環境負荷低減量は、これらCSVビジネスの係数と採用実績から算出されています。またCSVビジネスは、より優位性の高い製品、技術、ビジネスモデルの開発状況に応じて、継続的に見直されます。なお、CSVビジネスは「クリタグループのマテリアリティ」の共通価値テーマ「水資源の問題解決」「脱炭素社会実現への貢献」「循環型経済社会構築への貢献」の指標およびPSV-27 の財務目標と連動した取り組みとなっています。また、CSVビジネスによる顧客での節水量、GHG排出削減量、資源化貢献量・資源投入削減量の指標は、業績連動報酬の対象となる当社の執行役と執行役員、一部グループ会社の代表の業績評価に用いられています。

代表的な事例

AIによる水道管路劣化診断システム

水道管路は人々の生活を支える重要なインフラの一つであり、そのため水道管は設置年数により定期的に交換されています。しかしながら水道管は大半が地面の下に埋まっており、埋設地の土壌環境や交通状況、傾斜など様々な要因により劣化の速度が変わるため、設置年数に基づく判断だけでは水道管の劣化に起因する漏水を防止することは困難な状況となっています。AIによる水道管路劣化診断システムは、水道管路の情報や周辺の環境データ、過去の漏水情報などをAIに取り込み、劣化を予測診断します。これにより水道管の交換や漏水箇所の調査を効率的に実施することが可能となり、漏水の発生と流出量の抑制に貢献します。

Kurita Dropwise Technology

さまざまな工場の生産工程では、蒸気を用いて対象物を加熱する熱交換器が多く存在します。この蒸気式熱交換器の伝熱面では、蒸気が金属表面を通して対象物に熱を与えることで凝縮し、その金属表面で水膜が形成され、この水膜は熱伝達を阻害する要因となることが知られています。Kurita Dropwise Technologyは、熱交換器の伝熱面に撥水性を与えることで、水膜の形成を抑制し、熱伝達率を向上させることにより、生産性の向上や蒸気使用量削減による省エネルギーに貢献することができます。水処理薬品を蒸気に添加するだけで効果を発揮するため、生産設備の停止や大規模な投資をすることなく、GHG排出削減を実現することが可能です。

Off-Site Cleaning and Restoration(OSCAR)

水中に含まれる不純物を取り除く上で、RO膜(逆浸透膜)は重要な機能材であり、超純水製造や排水回収分野など、幅広い用途で使用されています。RO膜は、使用されていくうちに汚れが付着し性能が低下するため、定期的な洗浄が必要ですが、従来処理では高い性能回復が見込めないRO膜にOSCARを適用することで、新品に近いレベルまで性能回復することができます。本技術は、M&Aにより取得したアビスタ・テクノロジーズ社のもので、RO膜の再利用や性能回復に伴うポンプ動力の低減により、廃棄物の資源化とGHG排出削減に寄与することができます。

クリタサムズシステム

日本国内の使用済紙おむつは、主に一般廃棄物として廃棄物処理会社や地方自治体などの焼却施設で処分されています。今後、高齢化社会の進行などにより廃棄量の増加が予測されています。クリタサムズシステムは、使用済み紙おむつを洗浄・分別して再資源化する装置です。本装置に破袋機能を追加することによってビニール袋に入った状態のままで使用済紙おむつを処理することが可能となり、衛生面の改善と作業効率の向上を実現しました。使用済紙おむつは本装置で洗浄・分解され、パルプ類を含む処理水とプラスチック類に分別されます。分別した各素材は固形燃料や再生プラスチックなどに利活用可能となります。