サステナビリティ人権を尊重する

人権の尊重

30ヵ国以上で事業を展開するクリタグループは、多様な労働環境や商習慣、取引慣行に直面しており、ステークホルダーの人権を尊重して事業に取り組む必要があります。そのためクリタグループは、人権は経営上の重要課題であるとの認識のもと、事業活動を行う国・地域において従業員をはじめとするステークホルダーに対する人権尊重の取り組みを推進しています。
またクリタグループは、こうした取り組みをグループだけでなくサプライチェーンにおいても徹底することが重要であると認識しています。そこで、調達先に対しても人権への配慮を要請し、理解と協力を求めるとともに、定期的なモニタリング調査による遵守状況の確認を行っています。

SDGsへの貢献

人権に関する基本的な考え方

クリタグループは、法令遵守および社会倫理に基づいた正しい行動を具体的に実践していくための模範を示す「クリタグループ行動準則」において、すべての役員・従業員が人権に関して遵守すべき行動を定めています。さらに、企業理念およびクリタグループ行動準則を補完するものとして、「クリタグループ人権方針」を制定しています。

方針

本方針は、栗田工業株式会社およびその連結子会社のすべての役員と従業員に適用します。さらに、本方針をクリタグループが影響を及ぼすことができるビジネスパートナーおよびその他の関係者に対しても働きかけていきます。

  • クリタグループは、「国際人権章典」に規定された人権および「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」に規定された基本的権利と原則を尊重します。また、私たちは国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、人権尊重の取り組みを推進します。
  • クリタグル-プは、事業活動を行うそれぞれの国や地域で適用される法令を遵守します。国際的に認められた人権とそれぞれの国と地域の法令規則の間で矛盾が生じた場合は、クリタグル―プは、国際的に認められた人権原則を尊重する方法を追求していきます。
  • クリタグループは、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築して、人権への負の影響を特定し、その防止、または軽減を図るよう努めます。
  • クリタグループは、人権に対する負の影響を引き起こした場合や、負の影響に関与したことが明らかになった場合は、適切な手続きを通じて、その救済に取り組みます。
  • クリタグループは、本方針を周知していきます。また、方針の実効性を確保するため、適切な教育・訓練を行っていきます。
  • クリタグループは、人権に対する潜在的および実際の影響に関する対応について、関連するステークホルダーと協議を行っていきます。
  • クリタグループは、人権尊重の取り組み状況を企業の社会的責任(CSR)に関するレポートやウェブサイトにて報告していきます。

推進体制(2022年度)

クリタグループの人権に関する取り組みの推進体制は右図の通りです。主に従業員を対象とした人権啓発活動、および「働きがい」と「働きやすさ」による組織風土の醸成を目的とした取り組みは当社の社長室が所管しています。また、取引先に対する人権への配慮要請は当社のグループ生産本部が所管しています。

目標と実績

クリタグループの本テーマにおける2022年度の目標と実績は以下の通りです。

2022年度目標 2022年度実績
人権教育対象者の受講率 100% 100%

※ 2022年度の対象者は当社および国内グループ会社の従業員です。

主な取り組み

「クリタグループ人事管理ガイドライン」の制定

クリタグループは、グループ共通の考え方に基づいて人事管理を行うことを目的として、「クリタグル―プ人事管理ガイドライン」を制定しています。本ガイドラインでは「マネジメント開発」「誠実な雇用」「多様性の尊重」といった人事管理の基本的な考え方を定めています。本ガイドラインに沿い、国、地域、文化、風土、会社の個別状況に基づく各社の固有の人事施策と融合しながら、人事管理に取り組んでいます。

人権デュー・ディリジェンスの取り組み

クリタグループは、事業活動において人権リスクや人権に対する負の影響がないかを特定し、そのリスクを分析・評価して適切な対策を策定・実施する人権デュー・ディリジェンスを実施しています。バリューチェーン全体で人権尊重を推進するために、取引先に対しては、強制労働の禁止や児童労働の禁止、差別の排除といった人権への配慮を働きかけるとともに、定期的なモニタリング調査を通じて遵守状況を確認しています。2022年度は、独立かつ専門の監査人による当社のサプライチェーンの査察を行いました。その結果、一部の会社で長時間労働や安全衛生の問題が判明したため、是正を指導しました。また、外国人技能実習生制度について、現地の送り出し機関が実習生本人から規定を超える額の手数料を徴収するリスクが明らかになりました。当社は、取引先が外国人労働者を受け入れる際に発生する可能性がある人権侵害を未然防止するため、取引先に対する説明会などにより、積極的に働きかけていくこととしています。引き続き、さらなる評価対象の拡大とリスクの抽出により、対応を強化していきます。

人権啓発研修の実施

当社は、人権に対する従業員の意識向上に向けた「人権啓発研修」を継続して実施しています。また、企業経営において重要性を増す人権啓発について経営層の意識を高め、従業員と一体となった取り組み促進を目的として、当社および国内グループ会社の経営層を対象とした人権啓発研修も実施しています。
2022年度は、当社および国内グループ会社の経営層を対象として「ビジネスと人権」をテーマとした研修も実施しました。

人権啓発研修の参加人数

  2020年度 2021年度 2022年度
テーマ名 アンガーマネジメント ダイバーシティ&インクルージョン SNS時代の人権侵害
参加人数 2,095 4,778 4,754

多様性を受け入れ、活かす組織文化の醸成

当社はグループの人材の多様性確保に向けて、2020年10月にダイバーシティを推進する専任組織を設置し、多様な視点・バックグラウンドからイノベーションが創出される組織文化の醸成や仕組み・体制の整備を進めています。

従業員との対話

当社では、門田代表取締役社長と従業員が直接語り合う「タウンミーティング」を実施しています(2023年3月現在で42回実施)。2022年度は、クリタグループ内にあるグローバルプロジェクトチームの主催する研修プログラム参加者との懇話会を実施しました。懇話会では、研修で学んだことやそれを実践した手応えなどについて話し合われました。

  • ※ 役職名は2022年当時のものです。

労働組合との対話

当社では、会社の健全な発展・永続を図るとともに、会社と労働組合との間に正常かつ公正な労使関係を確保し、組合員の経済的・社会的地位の向上と労働条件の維持改善のために、労使とも最善の努力をしています。具体的には、当社と労働組合との間で労働協約を締結し、経営協議会などで経営情報の共有や意見交換を行い、対話を進めています。

取引先へのCSR要請

クリタグループは、サプライチェーン全体で人権尊重の取り組みを行うためには取引先の協力が不可欠であると考えています。当社では、「クリタグループCSR調達ガイドライン」を定め、取引先に対して強制労働の禁止や児童労働の禁止、差別の排除などの基本的人権の尊重と、適切な情報の提供をお願いしています。特に発注額の大きい取引先には、本ガイドラインに基づく自己評価の実施をお願いし、改善に向けた取り組みを要請しています。
また、当社は評価項目の拡充や評価結果の信頼性向上、取引先での負担軽減を目的として、2021年度からEcoVadis社のプラットフォームを活用しており、2023年3月時点において国内外の取引先123社(2020年度発注額比28%)が同プラットフォームに登録しています。

  • ※ 持続可能な調達のためサプライヤーをCSRの観点から評価するもので、質問項目や質問数を、業種、企業規模、国・地域によってカスタマイズしています。

労働問題の発生状況、および対応

差別事例の相談件数

クリタグループにおける本人からの申し出による差別事例(ハラスメント含む)の相談件数は以下の通りです。人事・法務部門にて匿名性を担保した事実調査を行い、事実が確認された場合、該当者に対する指導・警告等の対応を行っています。

  2020年度 2021年度 2022年度
栗田工業 4 3 10
国内グループ会社 10 16 4
国外グループ会社 2 0 0
グループ合計 16 19 14

従業員の人権リスク評価

当社における人権リスクの評価結果は以下の通りです。

  2020年度 2021年度 2022年度
児童労働 児童労働に関するリスクが著しい事業所の数 0 0 0
18歳未満による危険有害労働へのリスクが著しい事業所の数 0 0 0
強制労働 強制労働に関するリスクが著しい事業所の数 0 0 0

多様な人材の確保

障がい者雇用

当社および国内グループ会社では、多様な人材の確保のために障がい者の方に対しても広く雇用機会を提供しています。2013年4月には、障がい者の雇用機会を確保することを目的としてウィズ・クリタ株式会社(以下、ウィズ・クリタ)を設立しています。ウィズ・クリタは同年5月に「障がい者の雇用の促進等に関する法律」に基づいた特例子会社に認定されています。
なお、2023年3月現在における特例子会社制度のグループ対象は当社および国内グループ会社の4社で、これらは日本の法定雇用者数を満たしています。

  • ※ 日本の厚生労働省が、障がい者の雇用の促進および安定を図るために制定したもの。事業主が障がい雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなすことができます。

当社および国内グループ会社における障がい者雇用状況

2020年度 2021年度 2022年度
雇用人数 68 72 73
雇用率(%) 2.4 2.5 2.6

※ 障がい者雇用のグループ適用対象としている会社

外国籍社員の採用

当社は、多様な人材の確保に向けて国籍を問わない採用活動を行っており、日本への留学生を中心とした外国籍社員を採用しています。

当社における外国籍社員の雇用状況

2020年度 2021年度 2022年度
雇用人数 19 19 19

高年齢者の雇用機会確保

当社では、2006年の改正高年齢者雇用安定法の施行に合わせ、定年退職者の雇用機会を確保する制度を導入しています。雇用機会を確保する期間は定年退職(満60歳)から5年間を限度としており、2013年の高年齢者雇用安定法の改正にも対応しています。

SOGIEにおけるマイノリティ相談窓口の設置、同性パートナー・事実婚パートナーに関する規定の整備

当社および国内グループ会社は従業員(派遣員含む)を対象に、匿名での相談が可能な、社外のSOGIEにおけるマイノリティ相談窓口を設置しています。日常生活における、性的マイノリティゆえの心理的負担軽減と心理カウンセラー等の有資格者からの助言をもとに、上司、同僚が当事者へ適切に対応できることを目的としています。
また、当社は役員・従業員に提供しているさまざまな制度を同性パートナーや事実婚パートナーにも適用しています。従業員数の多い国内グループ会社にも同様の規定制定を展開しており、2022年度は1社で施行を開始しました。

  • 性的指向(Sexual Orientation)、性自認(Gender Identity)、性表現(Gender Expression)を組み合わせた用語

公正な人事制度

人事評価を受けている従業員の比率

従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すためには、従業員一人ひとりをその役割や成果に応じて公正に評価し、評価に見合った適正な処遇と育成・活用を図る必要があります。当社では、面談により従業員が自らの成果や課題を上司とともに確認することで、評価の透明性と公平性の確保に努めています。

当社における人事評価制度の対象となっている従業員の割合(%)

区分 2020年度 2021年度 2022年度
管理職 100 100 100
非管理職 100 100 100

「自己申告制度」の導入、「異動調査」の実施

当社では、担当業務と職場に関する自身の捉え方や、自身の能力開発と能力活用に関する意向を会社に表明する制度として「自己申告制度」を導入しています。上司が従業員と年1回、現在の業務に対する自らの適性、将来のキャリア形成に向けた異動希望、家族の状況などについて話し合うことを通じて、会社は本人の考えを理解し、人材育成と組織の活性化に活用しています。その他、「異動調査」により社員が希望するキャリアアップを会社に申し入れることが可能です。

働きやすい企業風土の実現

当社は、従業員が働きやすい環境の整備に向けて、仕事と家庭の両立を支援する施策を実施しています。

育児休職制度

当社では、次世代育成支援対策推進法に基づき、仕事と育児を両立しやすい環境を整備しています。育児休職の期間は、原則として子どもが2歳に達する日までを限度としていますが、一定の条件に見合えば延長も可能です。また従業員は、子どもが小学校3年生の3月末になるまで短時間勤務を選定することが可能です。また、出生時育児休職の創設や育児休職の分割取得を可能にするなど、制度の充実を図っています。

制度利用状況

2020年度 2021年度 2022年度
取得者数 男性 24 30 32
女性 25 24 7
取得率(%) 男性 37 51 68
女性 100 100 140
  • ※ 2022年度に出産した女性労働者数より同年度に育児休業を開始・取得した女性労働者数が多いため100%以上の取得率となっています。

介護休職・介護短時間勤務・介護休暇制度

当社では、要介護状態にある家族を持ち、介護休職後引き続き勤務する意思のある従業員は、原則として通算1年間(365日)を限度として、介護休職制度を利用することができます。また対象家族1 人につき要介護状態ごとに累計12ヵ月以内の介護短時間勤務制度の利用も可能です。さらに、要介護状態にある家族の介護その他の世話のために休暇を申出たときは、対象家族が1人の場合は年間5日間、2人以上であれば年間10日間を限度として特別有給休暇を取得できます。

制度利用状況(人)

2020年度 2021年度 2022年度
介護休職制度 男性 0 0 2
女性 0 0 0
介護短時間勤務制度 男性 0 0 0
女性 0 0 0
介護休暇制度 男性 9 11 9
女性 2 3 3

看護休暇制度

当社には看護のための休暇制度があり、小学校就学までの子どもを持つ従業員が、負傷または疾病により子どもの看護を必要とした場合、1年間に子どもが1人であれば年間5日、2人以上であれば年間10日を限度として有給休暇を取得できます。

配偶者転勤休職制度

当社には社員が海外転勤となる配偶者に帯同し、生活面や精神面で配偶者をサポートできるよう、最大3年間の休職制度があります。

制度利用状況(人)

2020年度 2021年度 2022年度
配偶者転勤休職制度 男性 0 0 0
女性 0 0 1

ボランティア休暇制度

当社には全従業員対象のボランティア休暇制度があり、年度当たり最長2日間の有給休暇を取得できます。

制度利用状況(人)

2020年度 2021年度 2022年度
ボランティア休暇制度 男性 1 0 0
女性 0 0 0

女性の活躍推進

女性の活躍推進は、日本における共通の課題です。当社における女性の平均勤続年数は15.8年と、女性が比較的長く働き続けられる環境にありますが、その一方で長い間女性の管理職への登用が進みませんでした。しかし、人口減少社会を迎えた日本において、女性の活躍を推進できるかどうかは、当社にとっても経営資源の確保に関わる喫緊の課題です。そこで当社はこの状況を改善するため、女性活躍推進法、および次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定し、実行しています。本行動計画の達成が認められ、「子育てサポート企業」「女性活躍推進企業」として、厚生労働大臣より「くるみん※1」「えるぼし(3つ星)※2」の認定を受けています。なお、当社は「MSCI 日本株女性活躍指数」の構成銘柄に選定されています。
なお、当社従業員の賃金は性別に関係なく同一の基準を適用していますが、社員資格や年齢層の人数分布などにより、平均賃金に差が生じています。特に40歳以上の年齢層では、男性は管理職相当(管理職を含む)の人数比率が女性に比べて高く、相対的に男性の平均賃金が高くなっています。一方で、管理職層における男女賃金格差は、部長職96%、課長級92%と、概ね同水準となっています。当社は、女性採用比率の向上、女性のキャリア形成支援および中核人材への女性の登用を進める取り組みなどを実施し、積極的に多様性の確保を図っていきます。また、当社のパート・有期雇用者のうち男性の嘱託社員は施工管理などの有資格者や連結子会社の経営幹部など、より高度な職種での雇用が多く、相対的に男性の平均賃金が高くなっています。

社員の男女の賃金の差異(%)

2022年度
全社員 68.0
うち正規雇用社員 67.5
うちパート・有期社員 65.9
  • ※1 日本の厚生労働大臣が、仕事と育児の両立支援に取り組む企業のうち、一定の要件を満たした企業を「子育てサポート企業」として認定する制度。詳細はこちら
  • ※2 日本の厚生労働大臣が、女性活躍推進法に基づき「女性の活躍推進企業」として認定する制度。詳細はこちら

当社の状況

2020年度 2021年度 2022年度
女性比率(%) 従業員 15.2 15.4 15.9
うち、管理職 2.4 2.7 4.1
女性平均勤続年数 16.4 16.2 15.9

※ 各年度の12月1日時点

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画

2018年4月から2023年3月までの期間における前計画で目標とした女性管理職数と新卒採用者の女性比率は達成見込みです(2023年3月現在)。また、2023年4月から2028年3月までの5ヵ年を期間とする本計画では、数値目標を次の通り定めています。
①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
・総合職採用の女性割合(新卒・経験者):30~40%程度
・女性管理職割合:10%程度
②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
・男性育児休業取得率:80~90%程度
・男性育児休業取得期間:2~8週間程度

※ 男性育児休業の目標は「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」にて取り組む。

項目 実施事項
女性採用比率の向上 新卒・経験者採用において、当社女性社員との接触機会を設ける。また、当社ホームページの採用ページを見直し、女性が安心して活躍できる情報を提供する。
キャリア形成支援 管理職登用までの3段階に分けたキャリア形成ワークショップ、専門性を究めるキャリア形成ワークショップを、経営層・女性社員の上司の参画を得て実施する。
女性の計画的な任用と職域拡大 女性管理職の任用計画を関係者で共有・更新する。
また、女性の少ない職種に女性を配置すると共に、その活躍を支援し定着を図る。
社内外の女性交流機会の設置 社内外の仕事と家庭を両立させてきた女性の知見を共有し、悩みを相談できる人脈形成を支援する動きを並行して推進する。

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画

2018年4月から2023年3月までの期間における前計画の実施状況は、育児休暇取得者割合とその平均取得日数および多様性の理解促進は概ね達成しました。一方で、育児代行サービス利用補助制度の利用促進および年次有給休暇の取得促進は改善の余地があり、取り組みを継続します。この結果を受けて、2023年4月から2028年3月までの期間において以下の取り組みを段階的に実施していきます。

項目 実施事項
男性育休の理解促進 管理職、本人、同僚向けの動画・研修を通じ、円滑に育休取得できる環境とする。
育児に関する制度の理解促進 制度説明動画、育児関連制度紹介のハンドブックの拡充、社内広報を通じ、制度の理解・利用を促進する。
男性育休に関する情報共有 経験者の知見を共有する場の提供、社内広報での事例紹介を通じ、良例を水平展開する。
年次有給休暇の取得促進 有給休暇取得を阻害する要因の削減と取得奨励活動を並行して推進する。

働き方改革

当社では、働き方改革の取り組みとして、長時間労働の是正とリモートワークの推進による「柔軟に働ける職場環境の整備」を進めています。

方針

  1. 働く人の変革
    従業員一人ひとりの時間に対する意識を高め、効率的な仕事の進め方を身に付ける。
  2. 業務プロセスの改革
    業務フローや作業手順を見直し、ムダの削減と標準化を進め、効率的な業務に変える。
  3. 働く環境とルールの整備
    仕事と休息のメリハリを付けた就業ルールや柔軟な働き方を支援する環境を整備する。

長時間労働の是正

当社は、長時間労働の是正に向けて以下の取り組みを行っています。

  • ① 勤務時間インターバル制度の導入
  • ② 退館時刻での消灯
  • ③ 自己管理対象者の労働時間管理の厳格化
  • ④ 有給休暇の取得促進

リモートワークの推進

当社は、リモートワークの推進に向けて以下の取り組みを行っています。

  • ① 全拠点において、原則として在宅勤務を実施(お客様の事業継続や社会的な要請に応える業務など出社や外出が伴う業務を除く)
  • ② リモートワークに必要なインフラ(パソコンやスマートフォン)の整備
  • ③ 社内行事、社内研修、および社内外会議等のオンライン化を推進
  • ④ ITスキルアップに向けたオンライン教育の実施
  • ⑤ ペーパーレス化の推進および電子押印の導入
  • ⑥ 在宅勤務手当の支給

IT機器の導入による業務効率化

当社は、主に設計業務に携わる従業員にモバイル型IT機器を配付し、業務の効率化を図っています。具体的には、従来の紙図面による施工内容の確認をIT機器の画面や現場写真による確認に変更するとともに、確認内容を社内外で速やかに共有することによって関係者間の認識の違いを無くし、手戻りを削減しました。取引先への連絡をスピーディーに行うことやオフィスまでの移動時間の削減も可能となり、エンジニアの作業時間削減により創造的な業務へのシフトを実現しています。

安全衛生

クリタグループは、事業の特性上、水処理薬品の製造・納入や水処理装置の組み立て・納入・据付など、クリタグループおよび協力会社の従業員が安全面における何らかのリスクに直面する場面が多くあると認識しています。そこでクリタグループは、「安全衛生は、事業を行う上での最優先事項である」と位置付け、クリタグループの役員・従業員、お取引先様の従業員の方々が安心して働ける職場環境づくりのために、安全確保と健康支援に取り組んでいます。

基本方針

クリタグループは、役員・従業員の安全と健康の確保および快適な職場環境づくりと改善に努めるべくグループ共通の「クリタグループ安全衛生方針」を定め、本方針に基づき安全衛生に関する取り組みを継続的に推進します。

方針

  1. 法の遵守
    クリタグループは、事業活動を行うそれぞれの国や地域で適用される安全衛生に関する法令を遵守する。
  2. 経営資源の投入
    クリタグループは、人員、設備および資金等の経営資源を投入し、安全で快適な職場環境の維持および改善を図る。
  3. 役割、権限、責任の明確化
    クリタグループは、自主的かつ継続的な安全衛生活動を行うために、グループ各社の安全衛生組織および安全衛生管理者の役割、権限、責任を明確にする。
  4. 安全衛生目標の設定および計画の立案と実行
    クリタグループは、グループ各社の安全衛生組織において、それぞれの事業内容や地域性、各国で適用される法令を踏まえた安全衛生活動の目標設定、その達成を確実にする計画の立案、事業者と従業員が一致協力した計画の実行を行う。また、実行した結果に基づく適切な見直しを行い、継続的に改善を図る。
  5. 危険・有害要因の除去・低減
    クリタグループは、リスクアセスメントを実施し、危険・有害要因を特定して改善を図り、リスクを除去・低減する。
  6. 教育・訓練
    クリタグループは、役員・従業員および協力会社に対し安全衛生に関する教育・訓練を行い、安全衛生方針および安全衛生活動の目標・計画・施策を周知徹底する。

推進体制(2022年度)

当社および国内グループ会社では、労働安全衛生法をはじめとする安全衛生に関連する法令に基づき、安全衛生管理体制を構築しています。当社の執行役員を委員長とする労使合同の本部安全衛生委員会のもと、事業所別・部門別で安全衛生委員会(委員長は事業所長または本部安全衛生委員会委員長の指名者)を、さらに国内グループ会社で安全衛生委員会を設置し、職場環境の整備や労働災害の防止などに関する討議を行い、従業員の健康と安全の維持・向上に取り組んでいます。なお、本部安全衛生委員会の活動方針や各安全衛生委員会の活動結果は、年1回、当社の取締役会に報告されます。
品質管理統括責任者は、安全に関する成果目標とプロセス目標の達成の進捗確認と評価を行い、その結果を年1回、当社の取締役会に報告しています。
現場における安全の取り組みは、当社の安全に関する専門部署である「安全推進部」がサポートするとともに、労働災害防止策の立案と実施ならびに安全衛生委員会の取り組みのフォローを行っています。なお、国内グループ会社の安全衛生委員会のうち、労使合同の委員会を設置しているのは21社中16社です(2023年3月現在)。また、全従業員のうち、安全衛生委員会に参加している従業員の割合は、当社は0.4%、国内グループ会社は8.5%です。

  • 本社における安全衛生委員会に参加している従業員の割合

目標と実績

クリタグループの本テーマにおける2022年度の目標と実績は以下の通りです。

2022年度目標 2022年度実績
現場作業に直接関わる従業員の安全教育受講率 100% 100%

※ 2022年度の受講対象者は当社および国内グループ会社の従業員で、受講者数は延べ5,294名です。

主な取り組み

安全衛生委員会では、2022年度は「安全衛生は、事業を行う上での最優先事項であることを再徹底するとともに、さまざまなリスクを正しく認識し、回避・除去するために必要な教育を徹底する」ことを活動方針として掲げ、①労働災害防止②健康管理を重点施策テーマとし、取り組みを推進しました。2022年度における主な取り組み内容は次の通りです。

労働災害の防止

当社は、これまでの労働災害の発生状況に基づき、「薬傷」「墜落・転落」「はさまれ・巻き込まれ」「熱中症」「事業特性に応じた労働災害」の防止を重点取り組み事項とし、協力会社も含めて徹底して取り組んでいます。2022年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動制限を踏まえ、労働災害発生リスクの高い新規・既存の事業とプロジェクトにおける現場で、リモートでの実施を含めて当社の安全推進部による安全パトロールを575回行い、現場におけるリスクの発見と改善、当社・協力会社の従業員の安全意識向上を図りました。安全パトロールでは、現場での安全対策などについて点数で評価し、その結果を従業員と協力会社へフィードバックした上で、指摘事項の改善・是正まで実施しています。

安全文化の醸成促進

当社および国内グループ会社は、安全は事業を行う上での最優先事項であるという価値観の共有と、安全確保に自ら取り組む風土の醸成を推進しています。2020年度より、当社および国内グループ会社で製造・施工現場に関わる部署を対象に、各組織における労働災害の未然防止に向けた取り組みの定着度合いを測る「安全文化診断」を行っており、現状把握と改善に継続して取り組んでいます。

安全パトロール実施件数(当社)

2020年度 2021年度 2022年度
国内 523 567 491
海外 22 8 4
合計 545 575 495

安全教育参加人数(当社)

研修名 2020年度 2021年度 2022年度
火気取り扱い教育 138 52 156
薬品取り扱い教育 238 62 141
新入社員向け安全研修 84 70 64
海外社員向け安全研修 9 0 0
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育 12 55 13
その他 35 23 0
合計 516 262 374

労働災害の原因究明と再発防止

当社および国内グループ会社において、労働中に発生し従業員が受けた2021年度における傷害の種類は、以下の通りです。発生した事故については、現場の安全を推進する、当社の専門部署で発生原因を調査するとともに、再発防止策を策定し、当社および国内グループ会社に周知しています。
また、当社は過去に発生した重大労働災害の再発防止のため、2021年度よりStress Strength Model-Safety(SSM-S)の運用を開始し、さらに本取り組みを発展させ、2022年度より労働災害の再発・未然防止モデルK-SAT(Kurita-Safety Approach Tool。社内名、K-SAT)の正式運用を開始しました。K-SATは、過去の労働災害から学んだ知見をシステム内に蓄積し、必要な情報を関係者が抽出して活用できるツールです。本ツールの活用により、過去の労働災害から学んだ知見を抜け・漏れなくリスクアセスメントに展開し、決定した対策を現場で確実に実行することで労働災害の再発防止を図ります。

  • ※ 不適合の発生メカニズムを構造的に把握し、知識化することで「再発防止・未然防止」に活用する仕組み。主に製造業で導入されている品質管理手法で、株式会社構造化知識研究所 田村泰彦氏により開発されたものです。

当社および国内グループ会社において2022年度に発生した傷害の種類

はさまれ・巻き込まれ、墜落・転落、飛来・落下、薬傷、転倒、激突され、激突、動作の反動、無理な動作

定期健康診断の実施

当社では、従業員の定期健康診断を実施しています。対象となる全従業員の受診を徹底しています。

2020年度 2021年度 2022年度
定期健康診断受診率(%) 100 100 100

危険な業務への対応

当社では、従業員が分析や実験を行う際、有機溶剤や特定化学物質などを取り扱うことがあります。当社は従業員の危険な業務への対応として、局所換気装置や保護具の使用といった曝露防止措置を講じるとともに、従業員の使用実績調査に基づく特殊健康診断を実施しています。

2020年度 2021年度 2022年度
特殊健康診断受診率(%) 100 100 100

健康増進の取り組み

当社では、従業員の健康増進に向けた取り組みとして、食生活の改善等に関する講習会や、体力年齢測定、ウォークラリーなどの健康イベントを実施しています。

2020年度 2021年度 2022年度
健康に関する講習会(回) 34 67 60
健康に関するイベント(回) 30 20 10

メンタルヘルスの予防に向けた取り組み

当社の各安全衛生委員会では、メンタルヘルスの不調・予防に向けた取り組みとして、メンタルヘルスに関する講習会を実施しています。また、労働安全衛生法に基づき厚生労働省が定めたストレスチェック制度の指針に沿って、全従業員を対象に本人の気付きを促す「ストレスチェック」を実施しています。

2020年度 2021年度 2022年度
メンタルヘルス講習会(回) 10 16 6
ストレスチェック受診率(%) 98.6 98.6 96.0

取引先へのCSR要請

クリタグループは、サプライチェーン全体で安全に事業を行うためには取引先の協力が不可欠であると考えています。当社では、「クリタグループCSR調達ガイドライン」を定め、取引先に対して法令に基づく従業員に対する安全の確保、衛生的な職場環境の確保、および従業員への労働安全教育の実施と、適切な情報の提供をお願いしています。特に発注額の大きい取引先には、本ガイドラインに基づく自己評価の実施をお願いし、改善に向けた取り組みを要請しています。
また、当社は評価項目の拡充や評価結果の信頼性向上、取引先での負担軽減を目的として、2021年度からEcoVadis社のプラットフォームを活用しており、2023年3月時点において国内外の取引先123社(2020年度発注額比28%)が同プラットフォームに登録しています。

  • ※ 持続可能な調達のためサプライヤーをCSRの観点から評価するもので、質問項目や質問数を、業種、企業規模、国・地域によってカスタマイズしています。

ISO45001の認証取得

クリタグループは、製造・施工現場の安全を確保し、労働災害を防止するため、ISO45001の考え方に基づく安全管理体制の整備を進めています。2023年3月現在におけるISO45001の認証取得状況は以下の通りです。グループ全体における取得率などのデータは「ESGデータ 社会」をご覧ください。

ISO45001認証取得会社一覧

  • クリタ(タイワン)Co., Ltd.
  • 栗田工業(大連)有限公司
  • 株式会社韓水
  • 韓水テクニカルサービスLtd.
  • クリタ・ヨーロッパGmbH
  • クリタ・フランスS.A.S.
  • クリタ・トルコA.S.
  • クリタ・アクアケミ FZE
  • クリタ・アクアケミ・サウジアラビア Co.
  • クリタ・ド・ブラジルLTDA.
  • クリタ(シンガポール)Pte. Ltd.
  • クリタ・ウォーター(マレーシア)Sdn. Bhd.
  • P.T.クリタ・インドネシア

労働災害の発生状況

当社および国内グループ会社における労働災害発生件数の推移はグラフの通りです。
2020年度から2022年度における当社および国内グループ会社従業員の業務上死亡者数は0名です。なお、従業員以外の同期間における死亡者数は1名です。