Press Release

2022年

2022年11月15日

水処理プラントの自動設計アプリケーションのβ版開発完了および運用開始
~設計業務6割削減、設計期間4割短縮~

栗田工業株式会社(東京都中野区、社長:門田 道也)と、Fracta Leap株式会社(東京都新宿区、社長:北林 康弘)の共同で水処理産業のデジタル変革(DX)を目指す「メタ・アクアプロジェクト*1」にて、水処理プラントの設計を自動化するアプリケーションの「β版*2」開発を完了し、その運用を開始しました。

これまで、本プロジェクトでは、顧客の納期短縮ニーズに応えるべく、「提案スピードの飛躍的向上と設計時間の抜本的削減」を目指して、同業務を自動化・最適化するアプリケーションの開発を進めてきました。その第1弾として、配置図(装置等のレイアウト)を自動設計するアプリケーションのβ版開発を完了し、今月から設計実務者による運用を開始しています(なお、本プロジェクトが手掛ける他の自動設計アプリケーションに関しても、今年度中に順次β版の運用を開始します)。

その効果としては、一連の自動設計アプリケーションを運用することで、プラントの「基本設計*3」の業務量は約6割が削減され、所要期間も約4割が短縮される見通しです。加えて、プラント設計案を高速に取捨選択できることになり、水処理プラントのライフサイクルコストの最適化、環境負荷抑制を含めたライフタイムバリューの向上にもつながります。

また、本件は技術的な面でも画期的です。具体的には、水処理の中でも、特に複雑で難度の高い産業領域で、その最上流にあたる「基本設計」をアルゴリズムで自動化しており、商業ベースでは国際的にも前例がありません。なお、本件のアルゴリズム技術に関連して、既に両社共同で特許出願も完了しています。

今後の展望としては、設計実務者からのフィードバックを得ながら、一連の自動設計アプリケーションの「正式版」の開発完了を目指します。併せて、クリタグループの各社と連携を図りながら、国内のみならず海外のお客様にも、本アプリケーションを通じた価値提供ができるように邁進してまいります。

なお、Fracta Leapでは、自動設計アプリケーションの事業進展に伴い、組織体制を拡充しており、アーキテクト/テックリード、数理最適化エンジニア、データエンジニア、プロダクトマネージャー、事業開発リーダー、などのプロフェッショナル人材を積極的に採用しており、来年には正社員30~40名の体制とする予定です。

自動配置設計アプリケーションの主な機能特長

設計が高速にできる「グループ配置」

アルゴリズムで、装置グループ単位のプロット・修正がパズルのようにサクサクと進められる

メンテナンス動線を考慮した「自動提案」

アルゴリズムで、配管ラックの生成や、メンテナンス動作を考慮した装置の向きを自動提案し、設計作業を最小限に

配管長を最小化する「最適配置」

アルゴリズムで配管長を最適化。最適化結果はリアルタイムにレビューすることが可能

  • *1「メタ・アクアプロジェクト」… 水処理インフラの持続可能性のために、デジタル技術による抜本的な生産性改善を目的として、2020年に発足した栗田工業とFracta Leapの共同プロジェクトです。主にAI・IoT技術を用いて、水処理プラントの設計・生産および運転管理のスマート化(効率化・高度化)を推進しています。詳細は、2020年8月20日付プレスリリース(https://www.kurita.co.jp/aboutus/press200820.html)をご参照ください。
  • *2「β版」…アプリケーションの正式版を配布する前に、主に試用のために提供されるバージョンのこと
  • *3「基本設計」…プラントの要件に基づき、必要な設備やその配置等の大枠を決定し、各種概略的な図面に落とし込む作業のこと
【栗田工業の概要】
会社名 栗田工業株式会社
所在地 東京都中野区中野四丁目10番1号
代表取締役社長 門田 道也
事業内容 水処理薬品・水処理装置の製造・販売、水処理装置のメンテナンス、超純水供給、土壌・地下水浄化
WEBサイト https://www.kurita.co.jp/
【Fracta Leapの概要】
会社名 Fracta Leap株式会社 (フラクタリープ)
設立 2020年5月(米国AIスタートアップ Fractaが子会社として設立)
所在地 (東京オフィス) 東京都新宿区新宿2-8-15 パークフロント新宿 3階
(川崎ラボ) 神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 KSP東棟 207
代表取締役 北林 康弘
事業内容 水処理インフラの問題解決に貢献するデジタル技術・製品の開発
WEBサイト https://fracta-leap.com/