Press Release

2017年

2017年2月2日

バイオマスエネルギーの利用促進に向けて国内最大規模の乾式メタン発酵の採用が決定
~廃棄物の再資源化とエネルギーの有効利用を実現する「KURITA DRANCO PROCESS®」~

栗田工業株式会社(本社:東京都中野区 社長:門田 道也)は、2015年4月より、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した「バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立システム化実証事業/事業性評価(FS)」に、株式会社富士クリーン(本社:香川県綾歌郡 社長:馬場一雄 以下、富士クリーン)と共同で取り組み、このたびNEDOの助成事業として採択されました。富士クリーンが建設する、廃棄物をメタン発酵させてバイオガスをエネルギー源として回収する施設において、当社の「乾式メタン発酵技術(KURITA DRANCO PROCESS®)」が採用されます。

本事業は、新エネルギーの研究開発・導入を先導しているNEDOが、バイオマスエネルギーの利用拡大を推進することを目的に助成を行うものです。最先端の技術を導入して廃棄物処理を通じた地域貢献を実践している富士クリーンは、地域の特徴を活かした持続的かつ経済的に成立する事業を目指しています。本事業において当社は、家庭から排出される生ごみ・紙ごみや、動植物性残さ、事業系紙ごみ、有機汚泥など、産業廃棄物等から発酵に適したものだけを高効率選別装置で分別し、乾式メタン発酵処理を行う提案を採用いただきました。これにより、多様な廃棄物(受入規模:約76トン/日)からバイオガスを回収し、燃料や電力として利用することが可能になります。今後、2018年度の事業開始に向けて、本施設の建設及び試運転を行う予定です。

当社は、乾式メタン発酵技術に関し、これまでも様々な実証を行い、発生するバイオガスをエネルギー利用する取り組みを推進してきました。当社の乾式メタン発酵技術「KURITA DRANCO PROCESS®」は、縦型発酵槽により省スペースを実現し、低含水率の廃棄物をメタン発酵させることで排水が出ないという特長を持っています。今回は、これらの取り組みや技術ノウハウを活かし、単一発酵槽としては国内最大規模(約3,000m3)の乾式メタン発酵施設を建設いたします。

バイオマスエネルギーは、再生可能エネルギーとして温室効果ガス排出量削減および望ましい電源構成(ベストミックス)の達成といった観点から一層の利用促進が求められています。また、今回の事業モデルが検証されることにより、廃棄物の削減やリサイクル率の向上、バイオマスのエネルギー活用の普及が加速することが期待されます。
当社は、水と環境の先進的マネジメント企業として、お客様の環境負荷低減に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて、乾式メタン発酵技術の拡販に注力してまいります。

尚、本成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。

<補足資料>
乾式メタン発酵技術「KURITA DRANCO PROCESS®」の特長について

■施設の概要

・処理対象
:約76t/日 産業廃棄物等
・前処理設備
:高効率選別装置、破砕機
・バイオガス化設備
:縦型乾式メタン発酵槽 約3,000m3
・エネルギー変換設備
:370kW ガスエンジン 2基、ボイラ
・スケジュール
:着工2016年12月
機械設備着工2017年8月
工事完了2018年3月
試運転完了2018年10月(予定)

■乾式メタン発酵技術「KURITA DRANCO PROCESS®」の特長

  1. 厨芥類、動植物性残さ、紙類、家畜ふん尿をはじめ、繊維分の多い稲わらや草類等、あらゆるバイオマスから安定的にバイオガスを回収することが可能です。
    また、回収したバイオガスは、電気・熱として利用できます。
  2. 発酵不適物をシンプルな選別装置で前処理するだけで適応可能です。
  3. 縦型発酵槽の採用により省スペースを実現します。また、槽内は撹拌装置や加温装置がないシンプルな構造ためメンテナンスも不要です。
  4. 発酵残さは水分が少ないため、脱水設備及び排水処理設備は不要です。