Press Release

2009年

2009年12月21日

RO膜処理の安定化に貢献する水処理薬品を開発

栗田工業株式会社(本社:東京都新宿区 社長:齊藤 浩)は、RO膜(逆浸透膜)処理の安定化に貢献する水処理薬品として、(1)膜の汚染原因となる有機物質を効果的に除去する前処理用の凝集剤、(2)RO膜面に付着するスライムを効果的に取り除くスライムコントロール剤、(3)シリカ・カルシウムなどのスケールを抑制する高機能スケール防止剤、という3種類の新商品を開発し、販売を開始しました。
これらのRO膜処理用の幅広い水処理薬品の商品ラインナップにより、お客様の工場で稼働するRO膜装置の「水質の安定化」「運転管理の省力化」「トータルコスト削減」に寄与する最適なサービスを提供します。
今後、世界的に排水再利用や海水淡水化へのRO膜処理の適用が進む中で、当社はRO膜関連の水処理薬品サービスを強化し、本市場での事業拡大を図っていく予定です。

  1. (注)スライム:水中の細菌や藻類など微生物により形成された汚濁物
    スケール:水中に溶け込んでいるカルシウムやシリカなどが析出し、固まったもの。

1. 開発の背景

  • 1)RO膜は、水中のイオン類や有機物を除去する膜で、主に半導体・液晶の製造に必要な超純水分野や、各種民間工場における排水回収、さらには海水淡水化プラントなどの分野で使用されています。しかし現在、これらのRO膜で処理する原水の水質変動・悪化が増加する傾向にあり、RO膜の表面に付着する汚れやスライム・スケールなどを原因とする膜の透過水量低下や処理水質の悪化が発生しています。このため、RO膜を使用するお客様では膜交換や洗浄頻度の増加によるコストアップが課題となっていました。
  • 2)世界的な水需要の拡大を背景に、中国や中東地域における海水淡水化やアジア地域における排水再利用などのニーズが高まっており、RO膜関連の市場も著しく拡大しています。

2. 当社の取り組み

当社は、長年水処理プラント分野において、電子産業向けの超純水製造装置や排水回収・海水淡水化向けなどに、多数のRO膜装置を納入してきました。これらのプラント分野における豊富な実績と経験を活かしながら、RO膜処理のさらなる安定化を実現する当社独自の水処理薬品を開発しました。

3. クリタのRO膜水処理薬品サービス

クリタでは、原水水質の調査やお客様のRO膜装置の診断などを通して、お客様のRO膜装置の安定化に貢献する最適な水処理薬品を提案・提供するサービスを展開しています。
なお今回開発した各商品は、以下のRO膜装置を含む一般的な水処理フローの適切なポイントで注入し、使用します。

1) 前処理用の凝集剤「クリバーター®BP-201、EP-301」

RO膜前処理において、膜表面を汚染して透水性能の悪化原因となる有機物質を効果的に凝集し、除去する有機系凝集剤を新たに開発しました。
これにより従来使用してきた無機凝集剤(ポリ塩化アルミニウム等)だけでは取り除けない膜汚染物質を除去するとともに、無機凝集剤の使用量を半減し、汚泥発生量も低減できます。

2) スライムコントロール剤「クリバーター®IK-110」

従来のスライム防止剤が持つ殺菌機能に加えて、膜面に付着したスライムを効果的に取り除くという機能を持ち、膜の材質に影響を与えない新しいタイプのスライムコントロール剤を開発しました。
幅広い菌相に対応でき、活性炭でのスライム防止も可能であることから、膜の劣化防止や膜の洗浄頻度を低減できます。

3) スケール防止剤「クリバーター®N-195、N-500」

RO膜に付着するスケールの生成および成長の抑制に優れた効果を発揮する高機能スケール防止剤を開発しました。膜の目詰まりによる透過水量の低下や処理水質の悪化などのトラブルを防止します。
シリカ系スケール防止剤としてクリバーター®N-195を、カルシウム系スケール防止剤としてクリバーター®N-500を適用します。

4) その他(お客様のニーズに応じて、以下の技術も提供します)

  • (1)高機能ろ過装置
    前処理薬品の効果を最大限に発揮するため、RO膜の汚染物質を高効率に除去する「高機能ろ過装置」も併せて提供できます。
  • (2)RO処理水の各種水処理技術
    排水をRO膜処理した水を工場の冷却水などに再利用する水処理技術や、RO処理水を高純度な水に仕上げるシステムなどを幅広く提案します。

4. 今後の市場展開

当社では、RO膜を多数使用する電子産業のお客様や、今後水不足や環境負荷低減ニーズの高まりを受けてRO膜関連の需要が拡大すると予測される海外市場(アジア、中東地域など)を中心に、本市場向けの水処理薬品の拡販に注力していきます。

以上