Press Release

2017年

2017年4月27日

硫化水素による臭気発生を予測して最適薬注量を自動制御、お客様の「安全」と「省力化」を実現
~下水道施設向けにIT・センシング技術を活用した水処理管理サービス「S.sensing®RS 」の適用を開始~

栗田工業株式会社(本社:東京都中野区 社長:門田 道也)は、下水道施設向けにIT・センシング技術を活用した水処理管理サービス「S.sensing®RS」の適用を開始します。「S.sensing®RS」は、臭気成分である硫化水素の発生を予測して消臭剤の最適注入量を自動制御するシステムにより、下水道施設における臭気リスクをマネジメントし、発生を抑制することでお客様の「安全」と「省力化」を実現します。

下水汚泥から発生する硫化水素は、周辺住民からの苦情や作業員の健康障害を引き起こす代表的な悪臭物質であり、多くの施設で消臭剤が使用されています。これまでは、硫化水素による臭気および消臭効果は検知管で都度計測しているため、1日を通じての連続的な監視ができず、硫化水素の発生量(濃度、拡散状況)に合わせて消臭剤の注入調整を手動で行う必要がありました。しかしながら、硫化水素の急激な発生変動がある場合は消臭剤注入と効果発揮までにタイムラグが生じるため、下水道施設の安定的な維持管理の面では課題が残されていました。

これに対し当社では、IT・センシング技術を活用した水処理管理サービス「S.sensing®(*)」の下水道施設向けシステムとして「S.sensing®RS」を開発し、適用を開始しました。「S.sensing®RS」は、槽外に設置した自吸式の測定機器により、リアルタイムに汚泥槽内の硫化水素の発生状況を監視します。また、硫化水素の発生要因が下水汚泥中の微生物(嫌気性細菌)の活動によるものであることに着目し、その活性条件に影響する汚泥性状を把握することで、硫化水素の発生を事前に予測し、消臭剤の最適薬注量を自動制御するシステムを構築しました。これにより、硫化水素による臭気の発生や消臭効果を事前に予測し、常に安全な作業環境を維持することができます。お客様は監視画面で消臭効果をいつでも確認できるため、安心して設備管理を行うことができ、現場作業の軽減による省力化も実現します。

「S.sensing®RS」は既に5カ所の下水道施設で適用を開始しており、2019年までにはその適用を100施設まで拡大する計画です。当社は、従来から下水汚泥・脱水ケーキを処理する当社独自の消臭剤「ステンチカット™シリーズ」「クリレイザー™シリーズ」のラインアップと豊富な適用実績を有しており、下水管路から下水処理場の臭気リスクに対応ができます。さらに、汚泥の腐敗を抑制して重力濃縮槽での濃縮不良を防止する「クリブレーク®シリーズ」など、各種水処理薬品と「S.sensing®」を組み合わせ、安定操業やトラブルの未然防止、運転管理の省力化などのソリューションを下水道施設向けに提供していきます。

(*)S.sensing®
「計測」「解析」「制御」「監視」各技術を組み合わせたシステムで、水処理薬品が使用される設備の水質や薬品注入量をリアルタイムに把握し、水質の変動に応じた最適な薬品注入制御を行う水処理管理サービス。