医薬分野では、バイオ医薬品(*1)製造への取り組みが世界的に加速しています。バイオ医薬品製造における原薬の精製プロセスでは遺伝子組み換え技術によってタンパク質やペプチドなどを生成した後、その有効成分を安全かつ高精度に分離するクロマトグラフィーが重要な技術となります。クロマトグラフィー技術は原薬の有効成分を分離するために、充填剤が入った「カラム」と呼ばれる容器に原料液体を通液し、原料液体に含まれる複数の成分のカラム内移動速度の差を利用して目的成分と不純物を分離回収するもので、高度化するバイオ医薬品製造では分離・精製をより高純度に、そして高効率に行う技術が要求されています。
当社は30年以上にわたり主に低分子の合成医薬品向けにクロマトグラフィー事業を展開してきましたが、今後、市場拡大が見込まれるバイオ医薬品向けでの事業展開を目指し、これまで培ってきた技術をベースにバイオ医薬品向けの分離・精製用カラムの開発に取り組みました。充填剤本来の性能を最大限に引き出すために、カラムに入った液体の流れの挙動をシミュレーションする当社独自のCFD解析技術(Computational Fluid Dynamics)を用いて、原薬の液体をカラム内の充填層全面に均一分散する構造に最適化し、国内メーカーでは初めて本分野向けクロマトグラフィー装置の開発に成功しました。今後、高い分離性能を実現するバイオ医薬品向けクロマトグラフィー装置「KuriPrep® ULCシリーズ」として拡販していきます。