Press Release

2014年

2014年8月7日

水処理装置の新たなメンテナンス「K-ecoメンテナンスサービス」を本格展開
~運転状況の見える化により、お客様と情報共有し、適正なメンテナンスを提案~

栗田工業株式会社(本社:東京都中野区 社長:中井 稔之)は水処理装置事業において、お客様に納入した水処理装置に水質センサーを設置してリアルタイムで収集したオンラインデータと、定期水質分析結果を併せて解析することで、水処理装置の運転状況をシンプルな指標で見える化し、お客様と共有する「K-ecoメンテナンスサービス」の本格展開を開始します。

当社は、お客様密着のサポート体制の下、納入装置の性能維持・改善やトラブルの未然防止など安定操業に貢献するメンテナンスサービスを展開しており、日々変化する工場の稼働状況や水質・水量に対応し、リアルタイムな装置運転状況に基づくメンテナンスを目指しています。適正なメンテナンス頻度や最適な運転条件を設定するためには、運転データを連続的に収集し、過去のトレンドを含めた様々なデータ解析を行うなど、刻々と変化する装置の状態を的確に把握することが不可欠です。

これに対し当社では、メンテナンスや運転管理を通し蓄積してきた経験・ノウハウを活かしながら、 水処理設備の新たな管理手法である「K-ecoメンテナンスサービス」を開発しました。本サービスでは、定期サンプリングによる精密な水質分析に加えて、水処理装置の各所にセンサーを設置し、オンラインで水質・水量などのデータを常時モニタリングします。さらに、これら運転データと水質分析結果を当社独自の特許技術で解析することで、水処理状況の変化をタイムリーに把握し、装置の運転状況や性能低下などが一目でわかる「コンディションインデックス(指標)」として提供します。そして、この指標をお客様と共有し、リアルタイムな運転データに基づいた「コンディションベース」のメンテナンスを実現していきます。

また、特にランニングコスト低減を求められているお客様に対しては、省コスト運転のための詳細なデータ解析を行い、ユーティリティコストを削減する運転条件を提案します。

本サービスは年単位のメンテナンス契約に加えて、「運転状況見える化特約(*)」と「省コスト化支援特約(*)」の新たな2つのサービスで構成され、ユーティリティを含めた工場全体の運転状況の最適化に貢献するものです。当社では「K-ecoメンテナンスサービス」の本格展開に先立ち、お客様の現場で試行を重ね、そのメリットを検証してきました。今後も本サービスの導入を推進し、お客様とともに運転状況に基づく適正なメンテナンスと省コスト化に向けて取り組むことで、メンテナンスサービスの付加価値向上を目指していきます。

  • *補足資料:「運転状況見える化特約と省コスト化支援特約、K-ecoメンテナンスの試行事例、仕組み」を参照
  • 「K-eco」は栗田工業の登録商標です。

<「運転状況見える化特約」と「省コスト化支援特約」>

  • (1)運転状況見える化特約
    本特約は水処理装置の各所に設置したセンサーでリアルタイムに運転データを収集するとともに、定期的に設備から水をサンプリングして水質分析を行います。収集した運転データと水質分析結果を当社独自の特許技術で解析し、その結果に基づき、水処理装置の運転状況や装置性能の低下などが一目でわかる「コンディションインデックス」として、お客様に提供します。
  • (2)省コスト化支援特約
    本特約は「運転状況見える化特約」で収集したデータを解析し、水、電気、蒸気などユーティリティコストの削減額と装置トラブル発生リスクの相関関係を表す「コスト・リスクシミュレーション」としてグラフ化します。そして、このシミュレーションに基づき最適な運転条件を提案し、その条件に合わせた装置運転の調整・改善を行います。

このように、データ収集、解析、運転条件の変更、結果報告のサイクルを繰り返すことで、コストとリスクが最適なバランスとなる運転条件をお客様とつくりあげていきます。

<K-ecoメンテナンスサービスの試行事例>

  • (1)設備の安定運転とメンテナンスの適正化に貢献
    お客様の逆浸透膜装置において、膜を交換することなくトラブルを未然に防止した事例です。
    「運転状況見える化特約」のコンディションインデックスで把握した逆浸透膜の性能低下に対して、連続的なトレンドデータから性能低下の原因が膜の閉塞による処理水量低下であることを特定し、速やかに膜洗浄等の対策を実施しました。これにより逆浸透膜の性能低下によるトラブルを未然に防止し、設備の安定運転とメンテナンスの適正化に貢献しました。
  • (2)ユーティリティコストを削減
    お客様の水処理設備の給水加熱に使用している蒸気使用量を削減した事例です。
    「省コスト化支援特約」で対象設備に関する連続的なトレンドデータを解析することで、安定運転を維持しつつ、蒸気使用量を削減できる給水温度条件をお客様に提案しました。その後、変更した運転条件下でデータ収集と解析を重ね、段階的に設備の給水温度を下げることで、冬場の加温のための蒸気使用にかかる費用を50%以上削減できました。

<K-ecoメンテナンスサービスの仕組み>