Press Release

2013年

2013年12月5日

リアルタイムに最適な水処理を実現する水処理管理サービス「S.sensing」を開始

栗田工業株式会社(本社:東京都中野区 社長:中井 稔之)は、水処理薬品事業において、センシング技術を活用した新たな水処理管理サービス「S.sensing」を開始しました。

本サービスは、冷却水系や排水処理設備など水処理薬品が使用される対象設備において、当社独自の「計測」、「解析」、「制御」、「監視」の各技術を組み合わせたシステムを適用し、水質変動に応じてリアルタイムで最適な薬品注入制御を行います。また、システムを通じて水処理の効果を遠隔監視し、お客様と共有することも可能です。
水質や薬品注入量・残量などのデータを監視する従来までのサービスに加え、薬品の有効濃度および水処理効果を解析して自動制御することで、より最適で効果的な水処理を実現することができます。当社では、よりスピーディに「水と環境」に関するお客様の課題を抽出し、さらに質の高い課題解決をS.sensingの展開を通じて推進していきます。

S.sensingでは、様々な分野向けに開発した当社独自のセンシング技術を用いて、冷却設備における薬品濃度の過不足を解消して水処理を最適化するサービスや、排水処理設備における処理水質の安定化とコストダウンを実現するサービス、紙パルプの製造プロセスなどにおいて生産性向上に貢献するサービスを幅広く提供し、お客様のニーズに応えていきます。

  • (*)排水、製紙プロセスにおけるS.sensingのサービスの具体的内容は、補足資料を参照

また、これらの計測データ・制御の結果は通信回線を通じて自動収集され、遠隔でトレンドを監視することが可能です。お客様は時系列的なデータや自動解析されたレポート・グラフをインターネット上で確認することができます。
当社においても、水処理管理の状況や効果、経時的な変化の傾向をお客様とリアルタイムで共有することで、トラブルの事前予測や、より効率的な水処理仕様の実現、さらには生産性向上、環境負荷低減につながる提案をより活発に実施することができます。当社では今後、国内外の各市場分野でS.sensingの適用を進め、お客様に密着した水処理管理サービスを推進していきます。

  • 「S.sensing」は栗田工業の商標です。
    補足資料:S.sensingのサービス(排水、製紙プロセス)、S.sensingによる水処理状況の管理画面

S.sensingのサービス(排水、製紙プロセス)

  • 排水処理
    凝集処理のプロセスにおいて凝集フロックの状態をリアルタイムに把握するセンサー「クリピタリ」を搭載したセンシング機器「S.sensing OS」をお客様の現場に設置し、無機凝集剤などの注入量を制御します。本センサーは凝集状態をレーザー散乱光により測定する方式で、凝集フロックと微細懸濁物が混在する高濃度排水においても安定した計測を行うことできます。排水では、これまで放流水や高度処理水の濁度を監視することが一般的でしたが、クリピタリは前段の凝集反応槽に設置でき、急激な水質負荷変動に対してもタイムラグなしで解析・制御を行い、安定した凝集状態を維持します。
    また、活性汚泥処理のプロセスでは、超音波により沈殿槽内を監視するセンサー「クリソニック」を活用し、汚泥の状態・変化などをリアルタイムに測定することで、活性汚泥の管理改善、トラブルの未然防止、省エネルギーなどに貢献できます。
    これらにより、当社では、お客様の排水処理の安定化や薬品注入の最適化、水処理・運転管理の省力化などトータルコストダウンを実現します。
  • 製紙プロセス
    製紙プロセスでは、紙を生産するために多くの水が使われます。また、そのプロセスの水質が操業効率や製品品質に大きな影響を与えるため、各工程で適切な水処理が必要となります。
    S.sensingでは、製紙プロセスの水処理管理に不可欠な水質項目をリアルタイムで計測するセンシング機器「S.sensing BU」を適用し、各プロセスの水質データをモニタリングすることで、お客様の操業や品質データとの相関を解析します。
    当社の水処理ノウハウをベースとしたこの解析結果より、製品の品質や操業効率に影響の大きい水質項目を特定し、最適水質を維持するための微生物処理剤、ポリマーなど紙プロセス向け薬品の精密な制御を行うことで、お客様の安定操業や不良品発生低減に貢献します。
  • 「クリピタリ」、「クリソニック」は栗田工業の登録商標です。

「S.sensing」による水処理状況の管理画面