Press Release

2011年

2011年1月27日

工場・オフィスビルにおいて冷凍機の省エネルギーを実現する新しい水処理技術の開発

栗田工業株式会社(本社:東京都新宿区 社長:齊藤 浩)は、工場やオフィスビルなどに設置されている冷凍機への汚れ付着を防止し、高い省エネルギー効果を実現する新たな冷却水処理技術「ハイブリッド処理」を開発しました。
本ハイブリッド処理を適用することで、冷却水中の薬品有効成分濃度が一定に維持され、スライムやスケールなどの汚れの付着を効果的に防止し、冷凍機の熱効率の低下を抑制することができます。そのため冷却水ラインの汚れによる冷凍機のエネルギーロスを解消することで、最大10%の省エネルギーに貢献します。
今後当社では、電子産業、自動車、食品など幅広い業種で、冷凍機の省エネルギー運転によるCO2削減やユーティリティコスト低減等のニーズを持つお客様に向けて、本技術の適用を進め、水処理薬品サービスの事業拡大を図っていく予定です。

1. 新技術「ハイブリッド処理」の概要

近年、工場やオフィスビルなどにおけるCO2排出量削減策として、空調や生産設備に用いられる冷凍機の熱効率低下によるエネルギーロスを改善しようとするお客様が増えています。電子産業等の大手工場ではエネルギーコストの2~3割を冷凍機の運転コストが占めるケースもあり、冷凍機本来の性能を維持するための技術が求められていました。
通常、冷凍機の熱効率低下を防ぐには、冷凍機内を流れる冷却水ラインに発生するスライムやスケール(*)などの汚れの付着を防止する水処理薬品を投入します。しかしながら薬品に含まれるスライム防止の有効成分が、時間とともに消耗し、その効果が低減してしまう(効果が持続できない)ことが技術的な課題となっていました。
今回開発したハイブリッド処理は、(1)汚れ付着防止の機能を高めた冷却水処理薬品、(2)スライム防止の有効成分の再生技術(有効成分濃度の自動制御)、(3)冷凍機の熱効率などを測定するモニタリング技術、の3要素を組み合わせたもので、安定的な冷却水処理を実現しました。3つの技術・要素は以下の通りです。

  • (*)スライム:水中の細菌や藻類など微生物により形成された汚濁物
    スケール:水中に溶け込んでいるカルシウムやシリカなどが析出し、固まったもの。

(1) 冷却水処理薬品「タワークリン®HB-300」「クリサワーマルチ®HB-305」

本薬品は、従来品に比べて、スライム、スケールの抑制や、腐食防止に優れた効果を発揮する冷却水処理薬品です。特にスライム付着の防止機能が非常に高く、冷凍機内を流れる冷却水中の細菌・微生物を除菌するだけでなく、冷凍機に付着したスライムを効果的に取り除く機能を持っています。

(2) 薬品有効成分の再生技術(有効成分濃度の自動制御)

「タワークリン®HB-300」「クリサワーマルチ®HB-305」に含まれるスライム防止の有効成分濃度を自動制御し、効果が低下した有効成分を再生(活性化)する薬剤を添加することで、薬品有効成分を常に一定の濃度に維持できる技術を新たに開発しました。この技術を適用することで、冷却水処理薬品の効果を安定的に発揮することができます。

(3) 水処理効果のモニタリング技術

冷却水の水質や薬品注入量などを遠隔監視するシステムや、冷凍機の熱効率や汚れ状況をモニタリングする技術を組み合わせることで、冷凍機の省エネルギー効果を検証することができます。

2. 導入効果(お客様のメリット)

(1) 高い省エネルギー効果の実現

冷凍機の汚れ付着を防止し、熱効率の低下を抑制することで、最大10%の冷凍機の省エネルギーを実現できます。また、これによりCO2排出量も削減できます。
例えば、国内の電子産業の大手工場(冷凍機の冷凍能力 約9,000RT)の場合では、エネルギーロス抑制により、CO2を年間1,000トン以上削減したケースもあります。

(2) 冷凍機のメンテナンスコスト低減

従来処理と比べて、冷凍機の開放や洗浄頻度を削減することができ、メンテナンスおよび運転管理のコストを低減できます。

(3) 衛生的な環境整備の維持

スライム防止機能を高めたことで、冷却水中で「レジオネラ属菌」が生息できない環境を維持できます。

以上