Press Release

2010年

2010年12月3日

半導体レジスト剥離工程におけるアッシングレス処理の実証に成功
~電解硫酸製造装置「グリーンサルファシッドKD®」の適用拡大~

栗田工業株式会社(本社:東京都新宿区 社長:齊藤 浩)は、半導体製造プロセスにおけるレジスト(*)剥離工程において、電解硫酸製造装置「グリーンサルファシッドKD®」を適用することで、アッシングレスで処理する場合でも安定したレジスト剥離の効果を出せることを実証しました。
従来のレジスト剥離技術では、硫酸と過酸化水素水の混合溶液を使うSPM法が広く用いられていますが、溶液を長期間使用するとレジスト剥離能力が徐々に低下することから、前処理としてアッシング処理を行うのが一般的です。アッシングとは、レジスト剥離の前処理としてレジストを高温で灰化させるドライ処理工程です。レジスト剥離効果の高いグリーンサルファシッドKD®を適用することで、このアッシング処理を削減でき、ウェット処理のみでのレジスト剥離を可能としました。また、本装置を用いることでSPM法の代替ができ、薬液使用量の大幅削減も併せて実現しました。
当社は、グリーンサルファシッドKD®の一号機を米国大手半導体メーカーに納入して以来、複数の受注を重ねてきました。今後も国内外における半導体工場向けに、本装置の拡販を一層強化し、半導体製造プロセスにおけるアッシングレスでのレジスト剥離の適用拡大と、生産性向上や環境負荷低減といったお客様の課題解決に貢献していきます。

  • レジストは、半導体の回路を形成する際に使用される樹脂で、半導体回路形成後に除去されます。

1. グリーンサルファシッドKD®の概要

▲装置外観(300mmウェハ:100~250枚/hr用)

▲装置外観(300mmウェハ:100~250枚/hr用)

「グリーンサルファシッドKD®」は、半導体製造工程のレジストを剥離するプロセスで、硫酸を電気分解して極めて酸化力の強い「過硫酸」を生成させ、その過硫酸を含んだ硫酸を洗浄機に送ることで、ウェハ上のレジストを剥離する装置です。硫酸は循環利用することができ、廃薬液の発生を大幅に削減できます。従来の硫酸と過酸化水素水の混合溶液による処理方式と比較し、同等以上のレジスト剥離効果と薬液使用量の削減を実現します。また、硫酸を連続的に電気分解する方式のため、過硫酸の濃度を一定に保ち長時間処理してもレジスト剥離効果を維持することができ、プロセスの安定化を図れます。

2. グリーンサルファシッドKD®の実績

当社では、国内外の半導体メーカーの製造プロセスにおいて、グリーンサルファシッドKD®を適用することで、従来のSPM法と同等以上のレジスト剥離効果を確認するとともに、アッシングレス処理の実証に成功しています。具体的に、当社は国内のルネサスエレクトロニクス社の汎用型半導体製造プロセス、および1号機を納入した米国大手半導体メーカーの最先端の半導体製造プロセスにおいてアッシングレス処理を行うことで、レジスト剥離工程を既存工程に比べ、最大1/2に短縮できる目処を得ました。

なお本成果については、当社と連名で、ルネサスエレクトロニクス社が9月の「応用物理学会」にて、米国大手半導体メーカーが11月の国際学会「ISMI(International SEMATECH Manufacturing Initiative)2010」にて、発表しています。

  • 各社でアッシングレスが実証できたレジスト表面のイオン濃度は以下の通り。
    ルネサスエレクトロニクス社:5×1014atoms/cm2
    米国大手半導体メーカー:1×1015atoms/cm2

3. 今後の展開について

近年、半導体メーカーでは、微細化以外にも、生産性向上、コスト削減、環境負荷低減など様々な目的のために製造プロセスの改善が進められています。レジスト剥離工程においてもアッシングレスや薬液使用量削減などのニーズはますます高まり、本装置の市場も今後拡大していくと予測されます。
当社では、日本、欧米、さらには半導体投資が活発化しているアジア地域の半導体メーカーに対して本装置の拡販を一層強化するとともに、最先端の枚葉式洗浄装置への適用も視野に入れ、半導体製造プロセスにおけるアッシングレス処理の適用拡大やお客様の課題解決に貢献していく考えです。

以上