Press Release

2010年

2010年10月7日

メッキ工場における環境負荷低減と製品品質向上に貢献
有価物を回収し、有効利用する「KCDI®-SP」を開発

栗田工業株式会社(本社:東京都新宿区 社長:齊藤 浩)は、メッキの製造プロセスで使用される溶液や廃液の中から有価物(銅などの金属イオン)を回収する水処理装置「KCDI®‐SP」を開発し、その1号機を大手メッキメーカーに納入しました。本装置は、当社が超純水分野で長年にわたり培ってきた連続式電気脱塩技術を応用したもので、溶液や廃液中に含まれるイオンを選択的に分離するという新たな機能を付加したものです。本装置をメッキプロセスに適用することで、溶液に含まれる有価物を回収し、有効利用を図れるとともに、溶液中のイオン濃度を最適にコントロールすることができることから、銅箔メッキなど製品の品質安定化も実現します。
今後、当社では、メッキメーカー各社に対し、環境負荷低減と品質向上に貢献する高付加価値な商品としてKCDI®‐SP の拡販を行うとともに、本装置の特徴である溶液・廃液中のイオンを選択的に分離できる機能を活かし、電子・機械・自動車など幅広い業種の製造プロセスへの適用を進めていきます。また、高い経済成長に伴いメッキ市場が拡大している中国など、海外においても本装置を積極的に展開していく予定です。

  • イオン交換樹脂を電気により連続再生することで、再生に必要な化学薬品を不要とした連続採水可能な脱イオン技術です。

1. メッキ工場におけるニーズ

1)環境負荷低減ニーズ

メッキ工場では、電気メッキの工程で有価金属を含むプロセス溶液を使用しています。通常、電気メッキを続けていくと、プロセス溶液中の不要イオン濃度が過剰となり、製品の品質を維持するためには、一旦製造ラインを停止し、まだ有価金属が多く残留している溶液を短いサイクルで全量交換する必要がありました。同時に、その廃液は、廃棄物として処分されていました。
このように環境負荷低減の観点からはもちろん、ランニングコスト削減の観点からも、プロセス溶液中の有価物を回収し、有効利用することが求められていました。

2)高品質化ニーズ

近年、電子機器の高性能化に伴い、電子部品に対する高品質化・高精度化のニーズも一層高まっており、その製造プロセスにおけるメッキ工程においても厳密な品質管理が求められています。特に、メッキ溶液のpH変動がメッキ被膜の均一化を阻害することが懸念されていました。
そのため、使用に伴い成分が変質し、pHも変動してしまうメッキ溶液中のイオン濃度を最適にコントロールし、製品の品質を安定化することが求められていました。

2. 当社の取組み

1)当社の考え

当社では上記のようなメッキ工場のニーズを把握したうえで、メッキ溶液中の不要なイオンを選択的に除去するとともに、溶液中の有価物イオンを分離・回収し有効利用することで、環境負荷低減と製品品質向上を同時に実現することを考えました。

2)KCDI®-SPの開発

装置外観

▲装置外観

  • (1)商品概要
    本装置は、当社が超純水分野で長年にわたり培ってきた連続式電気脱塩技術を応用したもので、溶液や廃液中に含まれるイオンを選択的に分離するという新たな機能を付加したものです。
  • (2)特徴
    • アニオン(-イオン)とカチオン(+イオン)を選択して分離・除去可能。
    • 電流を制御することにより、処理液のイオン濃度を一定にコントロール可能。
    • 電気により樹脂が連続的に再生されるため、イオン交換樹脂の再生薬品が不要。そのため薬品再生式のイオン交換樹脂法と比較して省コスト、省スペース、連続安定運転も実現。
  • (3)仕様
    • サイズ:
      H1,800×W1,200×D1,200(標準仕様:処理水量100L/h)
    • ラインナップ:
      「アニオン除去型」、「カチオン除去型」の2種類