「水と環境」の分野における事業を通して、環境問題の解決に貢献していく
創立以来62年にわたり「水と環境」の分野で事業を展開してきたクリタグループの目指すことは何か、環境経営の専門家である神戸大学大学院経営学研究科教授 國部 克彦氏と栗田工業株式会社 代表取締役社長 中井 稔之との対談を通してお伝えします。
事業を継続し、社会的責任を果たす
國部:東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災は、日本の経済にも大きな影響を及ぼしました。「事業継続の確保」はCSRの観点からも重要な課題ですが、クリタグループにおいてはこの度の震災でどのような影響がありましたか。
中井:当社グループのことをお話しする前に、大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災された皆さまとそのご家族の方々に謹んでお見舞いを申し上げます。
当社グループに関しましては幸いにも人的被害はなく、施設についても大きな被害はございませんでした。事業継続の確保については従来からリスクマネジメントにおける重要なテーマと捉えており、取り組みを行ってきましたが、今回の震災を契機に、喫緊の課題として見直しを行っています。

國部:事業継続の確保においてはサプライチェーンが重要なキーワードとなります。サプライチェーンの回復やお客さまの支援についてはどのような対応を取られましたか。
中井:多くのお客さまが工場の施設や設備において深刻な被害を受けられましたので、グループをあげて復旧を支援させていただいています。具体的には、水処理薬品事業では、お客さまへの水処理薬品の安定供給に向けて商品の製造と物流の確保に取り組み、水処理装置事業ではお客さまの工場の早期稼働に向けて水処理設備の復旧対応に取り組んでいます。
また被災地への支援として、私たちの商品であるパック詰め飲料水の提供や、海水淡水化装置による避難所への生活用水の供給などを実施いたしました。
國部:企業の特性を活かし、本業を通して復旧に貢献することは、環境経営の面からも重要なことだと思います。
中井:生産設備が復旧しても水がなくては生産できませんし、電力についても主要な発電方法では水を蒸気にしてタービンを回していますので、水なくしては発電もできません。私は今回の震災で、当社グループの事業基盤である「水」の重要性を改めて感じるとともに、「水と環境」の分野を事業領域とする当社グループの社会的責任の大きさを強く認識させられました。
企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現を目指す
國部:中井社長は環境経営を推進していく上での課題をどのように捉えていますか。

中井:私たちの環境改善活動は、自社内での環境負荷低減だけでなく、環境改善に寄与する新商品、新技術を開発し、事業を通してお客さまの環境改善を実現する「顧客環境改善活動」に取り組んでいることが大きな特徴です。
自社内での取り組みについてはグループ全体での活動が定着したと思いますが、私たちが力を入れている顧客環境改善活動をさらに発展させるためには「グループ会社での推進」と「グローバル対応」が課題であると考えています。
國部:活動をグループ会社へ展開することは環境マネジメント上重要なことですが、推進していくことは意外に難しいことです。会社の風土や事業内容を考慮して、推進方法を工夫する必要があります。
中井:水処理薬品事業についてはグループ会社においても栗田工業と同じ仕組みで運用することが可能です。しかしながら、環境改善効果を定量的に把握することが難しい事業もあるのが現状です。私たちのほぼ全ての商品・技術・サービスがお客さまの環境改善につながっているので、提案する全ての案件において環境改善効果を把握できる仕組みの整備が必要であると考えています。
國部:もう一つの課題であるグローバル対応についてはいかがですか。
中井:「グローバル事業の拡大」は中期経営計画の重点施策の一つであり、また震災による原発事故に伴う国内の電力問題もあって、お客さまの生産工場がこのまま国内に残るとは考えられず、顧客環境改善活動のグローバル化は私たちにとって必然です。海外では、国によって電力のCO2換算係数が日本と違うなどの事情があります。
國部:そこは顧客環境改善効果を国別に捉えるなどの工夫が必要でしょうね。ただ、世界的に見ると環境問題としてはCO2削減と並んで「水の浄化」「水の再利用」ニーズがとても高いのです。顧客環境改善活動というレベルを超えた大きな問題ですが、クリタグループは「水と環境」の分野でさまざまな技術、商品をお持ちですし、新商品、新技術の開発にも積極的に取り組んでおられます。グローバル化の推進により、地球全体の環境改善という大きな目標に取り組んでもらいたいと思います。
中井:私は、地球規模の水問題の解決には、必要な質と量の水を必要なときに使えるようにする「水のマネジメント」が有効であると考えています。私たちは、私たちにしかできない「水と環境の先進的マネジメント企業」という企業ビジョンの実現により、今後も社会に貢献してまいります。
(2011年7月実施)




