Press Release

1999年

1999年12月1日

オゾンを用いた汚泥減容化装置の基本特許登録の件

栗田工業(株)(社長:三東崇秀)は、オゾンを用いて余剰汚泥を発生させない生物処理システムを世界に先駆けて開発・実用化し、普及に努めて参りました。この度このオゾン減容法の基本特許が登録されましたので、その概要とこれまでの実用化の状況について下記の通り発表します。

1. オゾンによる汚泥減容化法の原理と特徴

本処理法は、活性汚泥で発生する余剰汚泥をオゾン処理し、オゾンによる酸化力で微生物の細胞壁を破壊して生分解され易く処理した後に、活性汚泥の曝気槽に戻して再度好気性処理を行うことによって、汚泥を二酸化炭素と水に完全分解するものである。オゾン処理する汚泥量を調整することにより余剰汚泥の発生をゼロにできる画期的な技術である。従来の、余剰汚泥を脱水し、埋め立てあるいは焼却処分する方式と比較して、省エネ、省コスト、省力化できる特徴がある。

2. 登録された基本特許

  • (1)出願・登録

    1993年に出願。件名「有機性排液の好気性処理方法」 1999年9月3日に特許第2973761号として登録。

  • (2)概要

    活性汚泥の存在下で有機性排液を好気性処理する方法において、排液中の有機物の同化(注)によって増殖する汚泥量よりも多い量の活性汚泥を好気処理系から引き抜き、オゾン処理した後、前記好気処理系に導入することを特徴とするする方法。オゾンを用いた汚泥減容法の基本特許と位置付けている。

  • (3)特長

    オゾン処理する汚泥量が有機物の同化から増殖する量よりも少ない場合、余剰汚泥の発生は従来法の1/3減程度までしか減容されない。余剰汚泥ゼロの達成のためには、BODの同化から増殖する量よりも多い量の活性汚泥をオゾン処理するのが最大のポイント。

  • (4)基本特許の取り扱い

    オゾンを用いた減容法で追随する競合各社に対し、当社はこの基本特許に基づいた対応を検討中である。

  • *注活性汚泥中の微生物は、排水中の有機物をエサとして増殖する。有機物を分解して自身の活動のためのエネルギー源とするのを異化、自身を複製して増殖することを同化と呼ぶ。

3. 実用化の状況

  • (1)1994年に三菱東京製薬/いわき工場(福島県)に実規模装置を設置し、余剰汚泥(有機性汚泥)の発生がゼロにできるとともにBOD5やSSなどの処理水の水質も従来法と差異がないことを実証した。
  • (2)1995年には、クラレ/中条工場(新潟県)において有機化学系排水の処理に採用されており、現在まで余剰汚泥ゼロ運転を継続している。
  • (3)1998年には三井化学/市原工場(千葉県)に、汚泥減容量2,600kgDS/day規模の大型減容装置を納入し、9,300m3の大型曝気槽にて石油化学排水に適用し、ISO14001推進に貢献させる考えである。
  • (4)この他にも、医薬、食品、化学、電子機器などの有機性排水処理分野で計13件の納入実績があり、建設中のものが1件となっている。

4. 今後の展開

当社では、ISO14001取得工場などを主たる対象として、特に膜分離方式の活性汚泥処理と組み合わせた処理方法での受注拡大を期待している。

以上