Press Release

2017年

2017年9月4日

欧州発、1剤で様々な課題を解決する皮膜性アミン技術を国内市場に投入
~環境に優しく、安全性に優れた中高圧発電ボイラ向け水処理薬品
「セタミン®JPシリーズ」~

栗田工業株式会社(本社:東京都中野区 社長:門田 道也)は、2015年の欧州事業買収にて獲得した中高圧発電ボイラ向け水処理薬品「セタミン®」を日本国内向けに改良し、「セタミン®JPシリーズ」として販売を開始しました。
「セタミン®」は皮膜性アミンを用いて、発電所のボイラにおける配管の腐食を防止する当社グループ独自の商品で、その効果は世界中から注目されています。欧州では既に1,000件を超える納入実績があり、設備の安全・安定運転はもとより、配管の寿命延長、エネルギーコストの低減、生産性向上など様々なメリットを提供しています。そして、この「セタミン®」の基本機能はそのままに、日本の毒物・劇物取締法とPRTR制度の対象物資を含有しない商品として新たに上市したのが「セタミン®JPシリーズ」です。変異原性物質であるヒドラジンを含まず、環境に優しく、安全性に優れた水処理薬品として、国内市場で適用を進めていきます。

発電所の中高圧ボイラを安定運転するためには、給水・復水系統の鉄製配管の腐食(*)防止が不可欠であり、お客様にとって最重要課題の一つとなっています。これまではボイラ水や給水・復水のpHを高く維持することで腐食を抑制するのが一般的でしたが、pHが高すぎると銅系部材が腐食する等の問題があり、十分な対応が困難でした。これに対し「セタミン®JPシリーズ」は、薬品の配合成分である「皮膜性アミン」が金属表面に吸着して緻密な皮膜層を形成し、水が直接金属に作用しないようにすることで腐食を防止します。さらには「中和性アミン」も成分に含めることでpHを最適に調整しながら、高い腐食抑制効果(当社従来処理と比べて腐食速度を約80%低減)を発揮することができます。

また「セタミン®JPシリーズ」は、ボイラ管理者の作業環境を改善し、現場管理の「省力化」を実現します。ボイラ水処理においては従来、清缶剤、脱酸素剤、給水・復水系のpH調整剤の3剤での処理が主流でしたが、セタミン®JPシリーズは1剤で全ての機能を網羅して安定した処理効果を発揮することができ、複数の薬剤濃度管理や清缶剤の希釈操作が不要です。加えて、ボイラ水系のどこからでも注入可能であり、コストが安い低圧仕様の薬注装置1台で処理できるなど、設備維持管理コストの削減も大きなメリットとなります。

当社はこのたび、10MPaを超える産業用発電ボイラや、バイオマス発電、ごみ発電のボイラで本商品の適用を開始しました。国内において中高圧ボイラ発電向けに皮膜性アミンを用いた水処理薬品の実績は少なく、今後幅広い分野で本商品を普及させていくことで、さらなるシェア拡大を目指します。
ボイラ水処理市場において当社は、2014年に低圧ボイラ向け薬品素材「ドリームポリマー®」を開発し、適用実績を拡大しています。このたび商品化した中高圧ボイラ向けの「セタミン®JPシリーズ」と併せて、ボイラプラントの運営の安定化とトータルコストダウンに寄与する取り組みに引き続き注力してまいります。

  1. 注) 発電プラントの中高圧ボイラでは、特に配管内の流れの乱れる箇所で「流れ加速型腐食(FAC):Flow Accelerated Corrosion」による配管の減肉が発生する。
    腐食の進行により配管が破孔した場合、ボイラの運転停止や人的被害の発生を引き起こす可能性もある。

【補足資料】

■セタミン®JPシリーズの特長

  • 皮膜性アミンと中和性アミンの効果で、給水・復水系統の流れ加速型腐食(FAC)を抑制できます。また、銅系部材への腐食防止にも有効です。
  • 一剤で給水・復水系統およびボイラの処理が行えるため、複数の薬剤濃度管理や清缶剤の希釈溶解作業が不要で、薬注装置も一台にすることができます。
  • 薬品成分は揮発性物質のみで構成されており、キャリオーバー発生時のタービンへのスケール付着もありません。
  • 変異原性物質であるヒドラジンを含まず、作業環境の安全性向上を図ることができます。

■皮膜性アミンの採用機構

  • 皮膜性アミン金属に吸着し(以下:左図1)、互いにイオン結合して(左図2)、疎水結合によって強固に密着します(左図3)。これにより、保護皮膜層(防食皮膜)を形成して金属と水の接触を防止します。

※皮膜性のアミンの吸着による保護皮膜層が形成された金属表面は発水性を示します。

(以下は、発水性の比較事例:左写真は無処理の試験片、右写真はセタミン®処理の試験片)

■流れ加速型腐食(FAC)の事象例

FACによる配管の減肉(減肉破孔リスクが高まる)