Press Release

2016年

2016年6月21日

「汚泥減量型好気処理プロセス(バイオプラネットSR)」が
第42回優秀環境装置表彰事業において「経済産業省 産業技術環境局長賞」を受賞

栗田工業株式会社(東京都中野区 社長:門田 道也)は、このたび一般社団法人日本産業機械工業会が主催する「第42回優秀環境装置表彰事業」において、「経済産業省産業技術環境局長賞」を受賞しました。受賞対象となった環境装置は、微小動物による食物連鎖を利用した「汚泥減量型好気処理プロセス(バイオプラネットSR)」です。本プロセスを用いることで、安定した処理水質を維持し、標準的な好気性生物処理と比べて余剰汚泥の発生量を最大で75%削減することができます。本表彰においては、国内外での適用実績と環境負荷低減のメリットを高く評価いただきました。

工場等の排水処理では、微生物の働きにより排水中の有機物を分解させる「生物処理」が多く用いられていますが、酸素が必要な微生物を用いる好気性生物処理(標準活性汚泥法)では、細菌が有機物を分解して増殖するため、廃棄物となる余剰汚泥が大量に発生するという課題がありました。これに対し、バイオプラネットSRは自然界の食物連鎖を排水処理に応用することで、有機物を分解して発生する細菌をより大きな高等微生物である原生動物や後生動物等に捕食させ、余剰汚泥の発生量を大幅に低減することができます。その際に系内の微生物バランスを最適化する当社独自の「運転方法」と各生物処理槽に適した「担体」を用いることで、排水濃度の変化や負荷変動等にかかわらず安定した処理性能を発揮し、高い汚泥削減効果を実現します。
このバイオプラネットSRは好気処理の主要処理方式(沈殿池返送型、膜分離型、流動担体による流動床型)いずれにも対応でき、排水に合わせた最適なフローを提案可能です。さらに当社では、イニシャルコスト削減、省スペース、短納期といったお客様のニーズに応えるため、本技術を適用した「標準型排水処理装置」も開発し、市場展開を図っています。現在、バイオプラネットSRは食品、飲料、液晶、化学など幅広い産業で納入実績を拡大し、適用先は海外にも広がっています。

日本産業機械工業会の優秀環境装置表彰事業は、環境保全技術の研究・開発、ならびに優秀な環境装置の普及促進を目的として、6ヵ月以上順調に稼働している装置を対象に表彰されるもので、経済産業大臣賞、産業技術環境局長賞、中小企業庁長官賞、日本産業機械工業会会長賞の授賞式が6月20日に開催されました。
当社では本受賞を励みとし、「余剰汚泥をいかに減らすか」というテーマを今後も追求し、特長ある生物処理技術を開発することで、「水と環境」に関する課題解決のさらなる推進と、環境負荷低減の実現に貢献してまいります。

  1. 「バイオプラネット」は栗田工業の登録商標です。

汚泥減量型好気処理プロセス(バイオプラネットSR)について

本装置は、大きく「分散菌槽」と「微小動物槽」で構成されます。分散菌槽では有機物を細菌が分解し、微小動物が捕食しやすいよう細菌を分散状態で増殖させます。微小動物槽では微小動物(原生動物、後生動物)がその細菌を捕食します。その過程では、微小動物の活動にエネルギーが消費され、余剰汚泥量が削減します。

また、バイオプラネットSRは、分散菌(細菌)の保持量や微小動物の増殖を最適にできるよう、分散菌槽と微小動物槽に各微生物に適した「担体」を添加しています。これにより、排水濃度の変化や負荷変動等に対しても、従来の生物処理と同等の処理水質が実現可能になりました。これまで実績が多い食品工場排水だけでなく、化学工場や液晶工場の有機系排水など、幅広い性状の排水に適用することが可能になりました。

<バイオプラネットSRの提供メリット>

  1. 標準活性汚泥法に比べて、汚泥発生量を最大で75%削減することができます。廃棄物処理費用を低減し、お客様(工場・事業所)の環境負荷低減に貢献できます。
  2. 電力使用量の増加や薬品を追加することなく、汚泥削減が実現できます。
  3. 当社独自の「運転方法」と各微生物に適した「担体」を用いることで、汚泥削減効果や処理水質が安定します。
  4. 好気処理主要3タイプ(沈殿池返送型、膜分離型、流動担体による流動床型)いずれにも対応できます。汚泥発生量を低減することに加え、高負荷処理への対応や処理水質の向上、凝集剤の削減などが可能になります。
  5. バイオプラネットSRの技術を適用した「標準型排水処理装置」をラインナップしています。従来の生物処理装置に比べ、コスト削減、省スペース、納期短縮を実現します。
  • (*)好気処理と嫌気処理について
    排水中に含まれる有機物の処理には微生物を利用することが一般的であり、微生物の種類により酸素がある状態で有機物を分解する「好気処理(好気性生物処理)」と、酸素が不要な環境下で活動する微生物の特徴を活かした「嫌気処理(嫌気性生物処理)」の2つに分けられます。
    当社は、排水処理における生物処理技術で国内トップクラスの納入実績を持ち、好気処理、嫌気処理、いずれも特長ある商品・技術を有しています。