Press Release

2014年

2014年6月25日

「担体嫌気処理プロセス(バイオセーバーTK)」が
第40回優秀環境装置表彰事業において「経済産業大臣賞」を受賞

栗田工業株式会社(東京都中野区 社長:中井 稔之)は、このたび一般社団法人日本産業機械工業会が主催した「第40回優秀環境装置表彰事業」において、「経済産業大臣賞」を受賞しました。

受賞対象となった環境装置は、嫌気性微生物を付着させた担体を用いて排水を浄化する「担体嫌気処理プロセス(バイオセーバーTK)」です。当社が独自開発した樹脂製の担体を用いて、従来の嫌気性処理では困難とされていた低濃度の有機排水や、組成の偏った排水処理への適用を可能とし、より幅広い分野で環境負荷低減を実現します。本表彰においては、その技術力と産業現場での適用実績が高く評価されました。

当社は排水処理における生物処理技術で国内トップクラスの実績を持ち、嫌気性処理についても 食品工場・ビール工場といった高濃度の有機排水において数多くの処理装置を納入してきましたが、有機物濃度が低い排水や化学系の単一組成の排水など、その適用が難しかった分野でも省エネルギーや廃棄物削減に貢献する嫌気性処理のニーズが高まり、2011年に「バイオセーバーTK」を商品化しました。本装置は、好気性処理と比べて、電力使用量を約1/2に、廃棄物発生量を約1/4にすることが可能であり、省スペースなどのメリットも提供します。
販売開始以降は、食品、飲料、液晶、化学など多岐にわたる産業で納入実績を拡大し、適用先は海外にも広がっています。さらには、本処理プロセスで発生するバイオガスをお客様の発電燃料として有効利用する取り組みも推進し、お客様における創エネルギーの実現にも貢献しています。

日本産業機械工業会の優秀環境装置表彰事業は、環境保全技術の研究・開発、ならびに優秀な環境装置の普及促進を目的として、6ヵ月以上順調に稼働している装置を対象に表彰されるもので、経済産業大臣賞、産業技術環境局長賞、中小企業庁長官賞、日本産業機械工業会会長賞の授賞式が6月24日に開催されました。
当社ではこのたびの「経済産業大臣賞」受賞を励みとし、幅広い排水処理ニーズに対応できる嫌気性処理技術を活かして、お客様の「水と環境」に関する課題解決をさらに推進していきます。

  • 「バイオセーバー」は栗田工業の登録商標です。

添付資料:担体嫌気処理プロセス(バイオセーバーTK)について

担体嫌気処理プロセス(バイオセーバーTK)について

流動性を持つ嫌気性処理用担体を反応槽に充填し、担体表面に嫌気性微生物を付着させることで、低濃度の有機排水や単一組成の排水に対しても、高負荷かつ安定的な処理が可能であり、有機物を高効率に除去できます。
また、様々な条件(濃度・成分・温度)に適用でき、負荷変動にも強く、これまで実績が多い食品系の工場の有機排水だけでなく、化学工場、製紙工場、液晶・半導体工場の有機排水など、幅広い性状の排水に適用することができます。

さらに、好気性処理と比べても、消費動力が少ない(動力費は約1/2)、廃棄物の発生が少ない(余剰汚泥の発生量は約1/4)、設備がコンパクト(反応層の大きさは1/3~1/5)、発生するメタンガスが利用可能などのメリットを提供できます(*)。

<嫌気性処理用担体の特徴>

開発した担体は樹脂製で、担体表面に微生物層を形成する構造です。また、担体は槽内で緩やかに流動し排水を処理しますが、微生物層の解体、系外への流出が起こらない構造となっています。

本担体は以下の特徴を持ちます。

  • (1)表面に凹凸があり、微生物保持量が多い。
  • (2)水に比べ重く、沈降速度が速い。
  • (3)バイオガスが抜けやすい構造。
  1. (*)好気性処理と嫌気性処理について
    排水中に含まれる有機物の処理には微生物を利用することが一般的であり、微生物の種類により酸素がある状態で有機物を分解する「好気性処理」と、酸素が不要な環境下で活動する微生物の特徴を活かした「嫌気性処理」の2つに分けられます。