Press Release

2010年

2010年6月23日

土壌地下水浄化技術「嫌気性バイオ浄化法」が「環境バイオテクノロジー学会技術賞」を受賞

栗田工業株式会社(本社:東京都新宿区 社長:齊藤 浩)は、当社の汚染土壌地下水の浄化技術である嫌気性バイオ浄化法が、環境バイオテクノロジー学会の平成22年度技術賞を受賞したことにより、6月22日の同学会の総会で表彰されました。
環境バイオテクノロジー学会の技術賞は、環境問題に対しバイオテクノロジーを適用した商品・工法・技術の中から優れた実績を有するものに対して贈られるものです。当社の嫌気性バイオ浄化法は、トリクロロエチレン(TCE)などの塩素化エチレンによって汚染された土壌地下水を嫌気性微生物の働きによって、そのままの場所で(原位置で)浄化するものであり、環境バイオテクノロジー分野における技術の発展と、環境問題の解決へ大きく貢献する技術として評価されました。
当社は、本受賞を弾みに、また本年4月1日に施行された改正土壌汚染対策法により、掘削除去+場外処分が抑制される動きを踏まえ、原位置浄化という特徴をもつ嫌気性バイオ浄化法の適用を積極的に推進していく考えです。
なお、受賞の理由は以下の通りです。

1. 受賞の理由

嫌気性バイオ浄化法は、地中に栄養剤を添加することによって塩素化エチレン分解菌(主にデハロコッコイデス属細菌)を増殖、活性化し、原位置で塩素化エチレンを分解する技術です。
当社では、自社開発した同技術を1998年に環境省(当時の環境庁)の委託研究「平成10年度土壌汚染浄化新技術確立・実証調査」にて現場実証後、上市し、現在まで100件近い実績を有しています。当社の嫌気性バイオ浄化法では、デハロコッコイデス属細菌の挙動を独自開発したDNA定量法(リアルタイムPCR法)にてモニタリングすることによって栄養剤の注入時期を最適化し、効率的に浄化を進めることができます。
また、デハロコッコイデス属細菌が生息しない、または少ないサイトに対しては、予め培養したデハロコッコイデス属細菌を含む微生物群を栄養剤と共に汚染地下水に注入する「バイオオーグメンテーション」を開発し、国内で初めて実用化しています(※)。バイオオーグメンテーションを適用することによって、嫌気性バイオ浄化法の適用範囲の拡大や浄化期間の短縮(最大1/2程度)が可能となり、総コストも従来法に比べて最大3割程度(当社比)低減できます。
これらの実績及び技術力が認められ、今回の技術賞の受賞となりました。

  • 参考:バイオオーグメンテーションによる浄化事例

バイオオーグメンテーションを適用した実サイトでは浄化開始2ヵ月後には、地下水中のトリクロロエチレン及びシス-1,2-ジクロロエチレンともに地下水環境基準値以下になり、また、平成21年11月に地下水環境基準項目に新たに追加された塩化ビニルモノマーの濃度も、注入開始4ヶ月後には基準値以下になることが確認されました。

以上