Press Release

2009年

2009年12月2日

半導体レジスト除去で新技術を開発
環境負荷を大幅削減する電解硫酸製造装置「グリーンサルファシッドKD™」

栗田工業株式会社(本社:東京都新宿区 社長:齊藤 浩)は、半導体製造プロセスにおけるレジスト剥離工程向けの電解硫酸製造装置「グリーンサルファシッドKD™」を開発し、その一号機を米国大手半導体メーカーより受注し、納入を完了しました。
従来、半導体製造プロセスのレジスト剥離工程では、硫酸と過酸化水素水の混合溶液(SPM)が使用されていますが、環境負荷低減・コスト削減の観点から、薬液の使用量削減が望まれていました。これに対し当社では、硫酸の電気分解液でレジストを剥離する処理技術を開発しました。この技術により、従来法(SPM法)と同等以上のレジスト剥離効果を得ながら、薬液使用量の大幅削減を可能にします。
今後、当社では、半導体製造におけるウェット洗浄プロセスの改善を実現する技術として、半導体・ウエハメーカー向けに積極的な拡販を推進していく予定です。

1. 開発の背景

1) 半導体製造におけるプロセス改善ニーズ

近年、半導体メーカーでは、微細化以外にも、生産性向上、コスト削減、環境負荷低減など様々な目的のために製造プロセスの改善が進められています。特に、ウェット洗浄プロセスに関しては、機能性洗浄水による薬液使用量の削減、薬液濃度の制御によるプロセスの安定化等が行われており、レジスト剥離工程においてもプロセス改善のニーズが高まっていました。

2) レジスト剥離工程における従来技術の課題

レジストは、半導体の回路を形成する際に使用される樹脂で、半導体回路形成後に除去されます。レジスト除去にはこれまでSPM法を用いるのが一般的でしたが、大量の硫酸と過酸化水素水を使用するため、環境負荷低減やコスト削減の観点から、代替技術の開発が求められていました。

2. 電解硫酸製造装置「グリーンサルファシッドKD™」について

1) 製品概要

本装置は、硫酸を電気分解して極めて酸化力の強い「過硫酸」を生成させ、過硫酸を洗浄機に送ることで、ウェハ上のレジストを剥離します。使用した過硫酸は処理後に硫酸に戻るので、回収して循環利用することができ、廃薬液の発生を大幅に減少させます。
従来のSPM法による処理方式と比較し、同等以上のレジスト剥離効果と薬液使用量の削減、プロセスの安定化を実現します。

2) 特徴(従来法に比べ)

  • (1)環境負荷低減(廃棄物削減)・コスト削減を実現
    • 過酸化水素水の使用量をゼロとしました。
    • 硫酸を循環使用することで、使用量を従来比で約1/10に削減可能です。
  • (2)安定したレジスト剥離効果を実現
    • 硫酸を連続的に電気分解する方式のため、レジスト剥離効果のカギを握る硫酸濃度および過硫酸濃度を一定に保つことができ、長時間処理してもレジスト剥離効果を維持することができます。
    • *従来法では2~3時間で剥離効果が低下。本装置では40時間経過後でも十分な剥離効果を実現しました。
  • (3)アッシング装置が不要
    • レジストの種類によっては、ドライプロセスでレジストの剥離に使用されるアッシング装置が不要になり(アッシングレス)、生産性の大幅向上に加え、イニシャルコスト・ランニングコストの一層の削減が可能となります。

以上