Press Release

2000年

2000年6月6日

汚染地下水および土壌を短期間で浄化する新技術「原位置酸化分解法」を開発

栗田工業(株)(本社:東京都新宿区、社長:三東崇秀)は、トリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物によって汚染された地下水及び土壌を、原位置において短期間で分解浄化する新技術「原位置酸化分解法」を開発いたしました。当社はこれまで、全国で600件以上の土壌・地下水汚染の調査・浄化事業の実績を積み重ねてきましたが、従来、このような土壌・地下水汚染の浄化には、一般的に数年から10年以上に及ぶ浄化対策を必要としました。そして、この長期にわたる浄化処理は、実施する企業等にとって大きな費用負担となるとともに、その間環境リスクを抱え続け続けるという意味で大きな課題でありました。また最近、土地の再利用や取引に際して土壌汚染が大きな障壁として問題化している状況を考えれば、土壌・地下水汚染の短期浄化法は、わが国経済の活性化の側面においても大きな課題ということができます。当社が今回開発した「原位置酸化分解法」は、汚染された地下水系に酸化剤(過マンガン酸カリウム)を直接注入することによって、揮発性有機化合物を分解して無害化するものです。原位置における化学反応を利用したものであるため、従来法である「揚水揮散処理法」、「真空抽出処理法」(注)などと比べ、低コストかつ極めて短期間で浄化処理を完了することができます。また、注入した酸化剤は汚染物質と短時間に反応して分解しますから、従来法のように回収溶剤などを発生させません。当社は昨年度、本法による現場試験を国内で初めて実施し、地下水中濃度1.2mg/L(環境基準の40倍)のトリクロロエチレンを約1ヵ月間で検出限界以下まで浄化できることを確認しており、この結果に基づいて本年度中に数カ所の現場における浄化処理を実施する予定です。

以上